『優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析』(長澤哲也)
本の紹介が続きますが、ご容赦下さい。それも同じ出版社ですが、別に宣伝を頼まれたわけではありません(笑)
大阪の独占禁止法専門家として活躍されている長澤哲也弁護士の新著です。長澤弁護士は、私どもが長年続けている有志の勉強会「独禁法・公正取引研究会」の講演会の講師にもお招きしたことがあります。
『優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析』長澤哲也
(商事法務)
最近の独占禁止法の改正で、独占禁止法の禁止する「不公正な取引方法」の内、これまで一般指定告示で定められていたもののいくつかが法律本体に直接規定されました。その一つが「優越的地位濫用」で、新たに課徴金の対象ともなり、先日、その第一号適用として山陽マルナカに対して課徴金約2億円の納付が命ぜられたことは当ブログでも紹介したところです。また、昨年11月には、公正取引委員会から「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」というガイドライン(この本の巻末にも掲載)も公表されています。
以前の当ブログ記事は、 ↓
→「山陽マルナカに対する排除措置命令・課徴金納付命令(公取委)」
(11/6/22)
→「「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の公表(公取委)」
(10/11/30)
また、下請法(正式には「下請代金支払遅延等防止法」)も、下請取引における優越的地位濫用行為を規制する法律で、独占禁止法と同じく公正取引委員会の所管となっています。
今回の長澤弁護士の著作は、今後、この優越的地位濫用と下請法の違反行為に対する取り締まりが厳しくなると思われるだけに、企業の法律実務法務に関して極めて有用なものです。抽象的な法律の条文を見ただけでは判りにくい分野であるだけに、公正取引委員会の運用基準やガイドラインなどについて、優越的地位濫用、下請法の両方に渡って整理されているだけでなく、両者を別異に順次解説せず、具体的な違反行為の類型から説明がなされているので、特に企業実務では使いやすい構成となっていると思います。
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