梅の購入代金カルテルで立入検査(和歌山・公取委)
先週末に島根、今週前半に東京と遠方出張が続いたこともあって(どちらも研修の講師でしたが)、ブログ更新ができませんでした。
一昨日の報道になりますが、和歌山県の梅干し加工業者が、農家から梅の購入価格を抑えるために、購入価格のカルテルを結んでいた疑いで、公正取引委員会が農協や加工業者ら十数カ所に立入検査に入った、とのことです。
紀州みなべ梅干協同組合と紀州田辺梅干協同組合に加盟する加工業者が対象となっており、農協(JAみなべいなみ、JA紀南)も組合加盟業者に含まれているようです。報道によれば、業者らは毎年、南高梅の大きさや品質ごとに農家からの購入価格を話し合いで決めていた、とのことです。
まだ立入検査の段階ですので、公正取引委員会の処分が出るのはまだ先のことと思われますが、本事案は、「購入カルテル」であるところが特徴ですね。よく見られるカルテルは、入札談合も含めて、事業者などが、自分たちの商品の価格や工事の代金を高値安定させる目的で、価格を取り決める、というものですが、「購入カルテル」は、本件のように原料や資材を仕入れる際の購入価格を事業者間で低く取り決めておくというものです。
このような「購入カルテル」については、以前は課徴金の対象とはされていませんでした。しかし、平成17年の独占禁止法大改正(自主申告による課徴金減免制度の導入や審判手続の見直しがなされた改正です。施行は18年。)で、「購入カルテル」に対しても新たに課徴金が課されることとなりました。
「購入カルテル」で課徴金が課された前例としては、溶融メタルの談合事件があります。これは、地方自治体が売却する溶融メタル等の購入代金のカルテル事件でした。
→ 「溶融メタル等入札談合の排除措置命令・課徴金納付命令(公取委)」
(08/10/18)
【追記】(7/14)
神戸大泉水文雄教授が、ブログに取り上げておられます。
→ 独占禁止法の部屋ブログ
「ガス絶縁開閉装置カルテルと、南高梅購入カルテル」
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