「集団的消費者被害救済制度」シンポ(京都弁護士会)
今日は、午前中、依頼者である京都市内の会社で打合せを行って、午後から、京都駅前のキャンパスプラザで開催された京都弁護士会主催のシンポジウム「集団的消費者被害救済制度~消費者が真に使いやすい制度に!~」に参加してきました。
現在、消費者委員会(内閣府)に集団的消費者被害救済制度専門調査会が設置されて、集団的な消費者被害を救済するための新たな訴訟制度のあり方について検討が続けられています。簡単にいうと、アメリカのクラスアクションみたいな制度ですが、具体的な制度設計は、いくつかの案が検討されている状況です。ここで、きちんとご紹介できればいいのですが、一般的にわかりやすく説明するのは結構むずかしそうなので(苦笑)、以下の調査会配布資料(PDF)を見て下さい。
→ 調査会資料「集団的消費者被害救済制度専門調査会の検討状況について」
→ 消費者庁「専門調査会における意見の概要」
この制度に関しては、既に日弁連からも要綱案が出ています。
→ 日本弁護士連合会
「損害賠償等消費者団体訴訟制度(特定共通請求原因確認等訴訟型)要綱案
消費者問題の集団的な訴訟というと、消費者契約法などの消費者団体訴訟制度が既に実施されていますが、こっちのほうは適格消費者団体が原告となって、消費者契約法などに違反している行為や契約条項を将来に向けて差し止めることを事業者に請求する訴訟です。
一方、今回、検討されているのは、実際に集団的な被害にあった消費者の救済、つまり損害賠償などを求めるための訴訟制度です。まだ、上記の調査会でも具体的な制度については詰められていませんが、予定では今年の8月には最終の取りまとめがなされることになっており、来年度の国会にも法案提出の見通し(国会情勢が不透明なんでわかりませんが)となっています。基本的には、やはり消費者団体による訴訟遂行が考えられていますが、理論的にも、実践的にも、まだいろいろと課題があることが、今日のシンポで良くわかりました。
どのような事件が対象範囲になるのかにもよりますが、この制度が導入されると、消費者被害事件の訴訟のやり方も大きく変わる可能性もあり、当然ながら、企業側としても従来とは違った対応が必要になってくるでしょう。
今日は、たまたま、岡山のNPO「消費者ネットおかやま」でも、この問題についての講演会があったようですね。また、まだサイトには詳細が掲載されていないようですが、6月25日午後に開催される適格消費者団体「消費者支援機構関西(KC's)」の通常総会記念シンポジウムも、「集団的消費者救済制度の実現で、消費者と事業者の関係はどう変わっていくのか?」をテーマに開催されるようです。興味のある方は参加されてはいかがでしょうか。
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