優越的地位濫用に対する初の課徴金(公取委)
昨日、公正取引委員会の「優越的地位濫用事件タスクフォース」に関して書いたところですが、この優越的地位濫用事件に対して、近々、初めての課徴金納付命令が出されるとの報道がなされています。
対象となると見られている事件は、岡山市のスーパー「山陽マルナカ」が、商品納入業者(食品や衣料品、日用雑貨)に対して、代金の不当減額や従業員の派遣を強要したとされるもので、これが独占禁止法の禁ずる不公正な取引方法(優越的地位の濫用)に該当するとされているものです。
報道によれば、公正取引委員会から同社に対して、事前通知がなされたようで、課徴金は2億円余りとかなり高額なものとなっているようです。
平成21年改正以前の独占禁止法では、「不公正な取引方法」については、行為を中止させるなどの排除措置命令は出されても、課徴金は課されることはなかったのですが、この改正により、課徴金の対象行為が拡大され、「不公正な取引方法」の内、不当廉売、差別対価、共同取引拒絶、再販売価格拘束、優越的地位の濫用については課徴金の対象とされました。しかも、前4者については、課徴金が課せられるのは、以前に処分を受けたのに行為を繰り返した事業者に限られるのに対し、優越的地位の濫用についてだけは、以前に処分を受けていない事業者でも課せられますので企業にとっては要注意です。
課徴金制度の概要については → 公取委サイト「課徴金制度」
なお、昨年、公正取引委員会から出された「優越的地位濫用ガイドライン」については、以前に当ブログでも書いておりますので、資料のリンクを含めて詳しくはそちらをご覧下さい。
→ 「「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の公表(公取委)」
(10/11/30)
« 「優越的地位濫用事件タスクフォース」における活動状況について(公取委) | トップページ | 「集団的消費者被害救済制度」シンポ(京都弁護士会) »
「法律」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
« 「優越的地位濫用事件タスクフォース」における活動状況について(公取委) | トップページ | 「集団的消費者被害救済制度」シンポ(京都弁護士会) »
コメント