専門学校の就職率についての不当表示(消費者庁)
クーポンによる共同購入システムに関しては、おせち事件を中心に当ブログでも取り上げてきましたが、報道によれば、東大阪市の美容店経営会社が、共同購入サイトで格安クーポンを過大に販売させられたために大幅な赤字が出たとして、グルーポン・ジャパンを被告として、約1700万円の損害賠償を求めて、大阪地裁に提訴するということのようです。まだ、提訴段階ですし、報道されている以上の状況はわかりませんが、今後注目される裁判ですね。
さて、消費者庁は、本日、学校法人北海道安達学園(札幌市中央区)に対し、同法人が経営する専門学校の生徒募集に関する表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に該当するとして、措置命令を出しています。本件も、公正取引委員会(北海道事務所)による調査の結果を踏まえて、措置命令が出されています。同法人が経営している専門学校は、「専門学校札幌デザイナー学院」、「専門学校札幌マンガ・アニメ学院」、「専門学校札幌ビジュアルアーツ」、「専門学校札幌スクールオブビジネス」。
→ 消費者庁サイト公表資料(PDF)
本件の不当表示というのは、北海道内の大学や専門学校などの就職率と北海道安達学園の就職率とを比較して、同学園の就職率が高率であると、パンフレットに記載するなどしていたものですが、同学園の就職率は、就職希望者数を分母にしているのに、北海道内の大学などの就職率については、もともと厚生労働省北海道労働局による調査で就職希望者等の数が分母とされていたにもかかわらず、就職を希望しない者等が含まれる卒業生の数を分母として同学園が独自に算出するなどして比較していたものです。また、2校については、新聞広告において専門分野への就職率が高率であるかのように表示していましたが、専門分野以外への就職も含めて就職率を算出するなどしていました。
学校などの教育機関について、これまでにも、不当表示として景品表示法による処分がなされた例は多くあり、本年4月にも、学習塾が大学合格実績を不当に表示したとして、消費者庁が措置命令を出しており、当ブログでも取り上げました。
→ 「学習塾による大学合格実績の不当表示(消費者庁)」(4/26)
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