ロス疑惑事件報道に関するヤフーの責任(東京地裁判決)と原発問題のNHK新書
報道によれば、いわゆるロス疑惑に関し、米国捜査当局に逮捕され留置場で自殺した三浦和義氏の妻が、YAHOO!JAPANのニュース記事と写真で精神的苦痛を受けたとして、産経新聞とヤフーに損害賠償を求めていた訴訟の判決で、東京地裁が66万円の連帯支払を両社に認めた判決が言い渡されたとのことです。
中身についてのコメントは判決を読んでからにしますが、ヤフーが新聞社から配信された写真をそのまま掲載したことによる賠償責任を認められた所が注目点になりますね。ヤフーに限らず、ニュース配信を行っているポータルサイトはたくさんありますので、そのチェックの責任ということになると各社とも再検討が迫られることになりそうです。
さて、全く違う話題ですが、福島の原発事故についてはまだまだ予断が許されない状況が続いており、一日も早く収束することを願うばかりです。この問題に関しては、既にいろいろな出版物が書店に並んでいますが、ひとまず、NHKが先日刊行した「緊急解説!福島第一原発事故と放射線」(水野倫之・山崎淑行・藤原淳登、NHK出版新書)を読みました。
もちろん、他の書物と比較したわけではないので、これが一番いいとお勧めするわけではないのですが、事故以降、NHKの番組での解説でよくみかける水野解説委員らの共著で、事故直後の報道の現場の状況やこれまでの原発推進の歴史的経過、放射線の健康への影響などが大変わかりやすく冷静な表現で書かれていました。事故そのものだけでなく、マスメディアの報道の現場の考え方ということについても考えさせられました。巻末には1~4号機それぞれの日ごとの経過(5/11までですが)の一覧表がついています。
今回の事故は、まだ現在進行形であり今後の見通しがついていないこと、および、放射線の健康への影響についてはわからない部分が多いことなどから、リスクの程度や対応方法についての考え方は各人それぞれで大きく変わるもので、感情的な対立にすらなりかねない状況です。命や健康に関わることですし、年齢や環境など人により考え方も違ってくることは当然なので、考え方が異なること自体は仕方のないことだと思いますが、どのような立場をとるにしても、なるべく正確な知識を得ておくことが必要だと思います。ネット上でよく見かける、ことさらに恐怖をあおるような、いい加減な情報については、百害あって一利なし、と思います。恐れるにせよ、安心するにせよ、正確な知識に基づいて考えたいものです。もちろん、そのためには政府も東京電力も正確な情報開示をしてもらわなければなりません。
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