震災に関連する独禁法上の問題の考え方(公取委)
3月23日付の当ブログで、公正取引委員会が「被災地への救援物資配送に関する業界での調整について」というのを出したことをご紹介しました。
→ 当該ブログ記事
公正取引委員会は、その後も大震災に関連して、独占禁止法や下請法について、次のような公表を行っています。
→ 公取委公表資料
「東日本大震災に関連するQ&A」
「業界団体等における夏期節電対策に係る独占禁止法上の考え方」
(PDF)
前者は、今回の震災と独占禁止法、下請法に関する問題をQ&A形式で解説したものです。震災による商品の供給不足の際の値上げや事業者団体による販売個数調整、風評被害に基づく親事業者による受領拒否・返品と下請法など、現時点で6問について、考え方が簡潔に示されています。
後者は、原発事故の影響による節電に関連して、節電目標達成のために業界団体が行う取組についての考え方を示したもので、業界団体から各企業への節電要請や、休業日の日程調整など、7つの事例について、原則として独占禁止法違反の問題とはならないことを示しています。もっとも、参加・遵守の強制や差別的なものの場合は、独占禁止法上の問題となるので注意が必要との記載もありますね。
このような問題について独占禁止法上の問題が生じないかどうか判らない場合は、できれば事前に、独占禁止法に詳しい弁護士や公正取引委員会に相談されるのがよいと思います。
【追記】(4/18)
一つ書き落としていました。
雑誌NBL・951号(4/15号)に中藤力弁護士、多田敏明弁護士(日比谷総合法律事務所)による「緊急災害時の企業の対応と独占禁止法」という論稿が出ています(P31~)。
5つの具体的な設例に関して、考え方が書かれているものですが、上記の公取委の公表よりも詳細に検討されており、独占禁止法の勉強用にはこちらのほうがいいでしょうね。
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