金融商品取引業者のサイト上の不当広告による登録取消(金融商品取引法)
ということで、広告関係の話が続くのですが、今回は、金融商品取引とインターネットサイト上の広告に関連する話題です。
まず、本日(12/17)金融庁は、金融商品取引法に基づく行政処分を2業者に対して出しています。
一つは、常盤Investments株式会社に、FX取引勧誘等について外務員登録のない者に外務員の職務を行わせたという違反行為があったとして、1ヶ月間の一部業務停止処分(店頭デリバティブ取引のうち、新規顧客の勧誘及び新規口座開設に係る業務の停止)などの行政処分がなされています(関東財務局)。
→ 「常盤Investments株式会社に対する行政処分について」(PDF)
また、投資助言業の株式会社インベストマスターに対しては、(1)法定書面の顧客への不交付等と(2)著しく事実に相違する表示のある広告という金融商品取引法違反行為で登録取消という行政処分がなされました(東海財務局)。
→ 「株式会社インベストマスターに対する行政処分について」(PDF)
金融商品取引法は37条に広告等の規制の規定が置いており、「金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。 」となっています(条文は末尾に)。この会社は、この規制に違反したものとされました。同社のインターネットサイトにおいて、以下のような表示がされていたようです。
- 当社の投資助言業務の顧客の実績紹介について
投資顧問契約の助言内容の優位性について信憑性を与えるため、顧客として「A氏」の顔写真を掲載した上で、取引履歴画像を添付して、「目標金額の100,000 円を達成!」と、「A氏」が実際に取引を行い、あたかも当該顧客が優れた成果を収めたかのようなコメントを表示していた。しかしながら、「A氏」については、実在する顧客ではないほか、取引履歴画像についても架空のものであった。 - 金融商品取引業者の登録について
「3つのスキルがあるから私はこの分野では日本一と言えるのです。その実績を、東海財務局第一号から評価され難しい『認定』を頂くことができました。」と表示し、また、「東海財務局初のインターネット認定スクール」と表示しており、あたかも東海財務局が当社のこれまでの実績を評価し、当社の投資助言業務を認定したかのような表示を行っていた。 - 動画映像による表示について
FX取引は、顧客が差し入れた証拠金の額を超える損失が生じる可能性があるにもかかわらず、勧誘する相手方のリスクに対する抵抗を軽減するため、事実と異なる説明になることを認識しながら、「FXへ間違った認識を持つ人が多いですがどう思いますか?」という文言に続けて、「自分の入れた以上のお金を失うことは無い」との文言を表示するとともに、「・・・自分のお金、入れた以上のお金を失うことはまずありませんし・・・」と説明していた。
このサイト上の広告表示が、1については投資助言業務の実績に関する事項について、2については金融商品取引業者の信用に関する事項について、3については金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みについて、著しく事実に相違する表示に該当し、金融商品取引法37条2項に違反するものとされたものです。
金融商品取引法第37条(広告等の規制)
金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業の内容について広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を表示しなければならない。
一 当該金融商品取引業者等の商号、名称又は氏名
二 金融商品取引業者等である旨及び当該金融商品取引業者等の登録番号
三 当該金融商品取引業者等の行う金融商品取引業の内容に関する事項で
あつて、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令
で定めるもの
2 金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
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