平成電電事件と円天事件の広告関与者責任に関する判決2題
先日から、左サイドバーから「【コラム】消費者に対する広告媒体者の責任」という「文化通信」の記事原稿をリンクしていますが、この問題に関連した判決が12月1日に出ました。
この事件は、新聞広告を見てベンチャー企業・平成電電への出資をしたが、同社が倒産して損害を被った出資者が、広告を掲載した大手新聞社を被告として損害賠償を求めたものです。この裁判については、東京地裁が出資者らの請求を棄却しており、今回は、東京高裁の控訴審判決で、東京高裁は、一審判決を支持して、控訴を棄却しています。
この判決についても、12月13日付の「文化通信」に書きましたので、よろしければご覧ください。
判決は、平成元年最高裁判決(日本コーポ事件)が示した判断枠組みに基づき、まず「広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情」の有無の判断を行い、結局本件では、そのような特別の事情はなかったとして、損害賠償義務を否定したものです。
なお、広告に関与した者の責任に関する問題の判決としては、本件同様の巨額詐欺出資事件・「円天」事件に関し、会社のイベントに出演していた有名演歌歌手を被告として損害賠償を求めた訴訟の判決が、東京地裁において11月25日言い渡されたことが報道されました。
この裁判でも、この歌手の積極的関与を認めず請求を棄却する判決が言い渡されたようです。いわゆる「広告塔」の責任の問題ですね。
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