『デジタル時代の著作権』(野口祐子著)
久しぶりに本の紹介です。
今年初めに、著作権法務の権威、福井健策弁護士の2冊の集英社新書についてご紹介いたしました。
→ 「『著作権の世紀』(福井健策著)読了」(1/21)
→ 「『著作権とは何か』(福井健策著)も読了」(1/28)
今回も弁護士の書いた著作権に関する新書です。
野口祐子著 「デジタル時代の著作権」 ちくま新書 です。
上記の福井弁護士の本とあえて比較すれば、読者に要求される法律的な知識はやや高いかなと思いますが、福井本同様に一般の人にもわかりやすく、かつ、法律の本としての水準を落とすことなく書かれています。また、4年にわたるスタンフォード・ロースクールでの著者の留学経験がこの本の内容を深めているように思います。
私としては、ハリウッドを中心とする著作権ビジネスと科学データの著作権の問題が対比的に紹介されているのが面白く、あまり考えていなかった科学データの著作権問題について考えさせられました。
デジタル社会の進展で、著作権ビジネスがますます拡大する一方、著作権が普通の市民にも身近な問題になってきています。著者はこれを「お茶の間法」への変質と表現していますが、我々弁護士も、仕事内容が、直接には出版や映画、音楽などの企業とは関係がなくても、著作権法を知らないではすまない時代になってきましたですね。
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