カニの売りつけ商法業者の検挙、業務停止命令について(特定商取引法)
品質の悪いカニを電話などで売りつける商法に関して以前から報道されているところですが、今日は、北海道警が業者2名を逮捕したというニュースが出ています。逮捕容疑は、特定商取引法違反(書面不交付)です。
報道によれば、電話勧誘した客に必要な契約書類を渡さず、粗悪なカニを売り付けたとされており、「北海一番」と称する札幌の男性業者ら2人を逮捕したものです。全国の9千人以上から1億円以上を売り上げたとみられるということですので、相当の被害ですね。
同様の商売を行っていた業者については、今年10月にも、経営者2名が同じく特定商取引法違反(書面不交付)で北海道警に逮捕されており、内1名については今月17日に札幌簡裁から罰金80万円の略式命令が出されています(他の1名は起訴猶予。)。
また、今年9月には、札幌市の暴力団組員でもある「マルキタ水産」経営者を同様に特定商取引法違反(書面不交付)の疑いで、北海道警が逮捕しています。この事件では、茨城や福岡などの50~70代の男女9人にカニの甲羅や折れた足、ワカメや魚の切り身などを詰め合わせ、契約書を交付せずに1万~2万円で売り付けたとの逮捕容疑のようですが、警察は、全国約1400人に売り付け、計約2千万円を売り上げていたとみているとのことです。
このように複数の業者が同様の悪質商法を行っており、全国的に被害が多く出ているようです。
そんな中で、先日(11/25)、関東経済産業局が、同様の海産物の電話勧誘販売業者・道産子フーズ株式会社(札幌市)に対し、特定商取引法違反(書面不交付など)を理由に、3か月間、電話勧誘販売に関する勧誘、申込み受付及び契約の締結を停止するよう命じる業務停止命令を出しています。
→ 消費者庁サイト「特定商取引法に基づく処分について」(11/25)
関東経済産業局が認定した事実関係は次の通りです。
- 同社は、「いらない。」と断っている消費者に対し勧誘を続け、又は「いらない。」と断って電話を切った消費者に対し、その後も電話をかける等、その電話で引き続き勧誘を行い、又は再び電話をかけて勧誘していました。
- 同社は、本件商品の売買契約の勧誘時に、断ろうとして営業員に話しかけている消費者の話を遮り、一方的に勧誘を続けて話をさせる余地を与えない、又は何日にもわたって電話をかける等、迷惑を覚えさせるような方法で勧誘をしていました。
- 同社は、本件商品の売買契約の勧誘に先立って、消費者に対して、同社の名称及び勧誘を行う者の氏名を告げておらず、若しくは同社の名称を告げた場合であっても、勧誘を行う者の氏名を告げていませんでした。
同社は、契約を締結した消費者に対して、売買契約の内容を明らかにする書面を交付していませんでした。
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コメント
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私、道産子フーズで
電話勧誘販売のバイトを2週間やってました…
投稿: ちょび | 2011年9月19日 (月) 22時43分