焼き肉『ロース』の表示(消費者庁)
消費者庁が「焼肉業者における焼肉メニュー表示の適正化について」(10/7)というのを公表しています。焼肉屋の「ロース」は必ずしも「ロース」ではなかったのか、とびっくりしますね。
→ 消費者庁サイト報道発表資料(PDF)
焼肉業者が加盟する団体「事業協同組合全国焼肉協会」に対して、消費者庁が、ロース以外の部位の肉を提供する料理に「○○ロース」等の表示を行うことが景品表示法に違反することを伝え、傘下焼肉業者への周知及び指導を求めた、というものです。消費者庁の発表内容概要は以下の通り。
しかし、料理名として「○○ロース」ってどういう料理なんでしょうか。(※ご指摘いただきましたが、「ロース」として肉の種類がメニューに書いてあれば、料理名ですね。失礼しました。)
【焼肉業者のメニュー表示の実態】
消費者庁が、事業者の焼肉料理のメニューで「和牛ロース」等と表示している料理で実際にはロースの部位でない「ランプ」、「そともも」等のもも肉が使用されているとの情報提供を受けて、景品表示法によって調査を行ったところ、焼肉業者で、メニュー上「○○ロース」等と表示している料理で、実際にはもも肉等ロース以外の部位の肉を使用しているものがあることが判明した。
また、他の多くの焼肉業者でも、同様の行為が行われていること、さらに、焼肉業者の間では、「○○ロース」等は料理名を意味し、ロース以外の部位の肉を使った焼肉料理について料理名として「○○ロース」等と表示しても構わないという認識があることが判明した。
【メニュー表示と実際の内容の例】
メニューに「和牛ロース」と記載した料理では、国産和牛の「もも」、「そともも」又は「ランプ」( 部分の肉)を使用していた。
メニューに「和牛上ロース」と記載した料理では、国産和牛の「かたロース」、「リブロース」又は「サーロイン」( 部分の肉)を使用していた。
【景品表示法上の考え方】
肉の販売については、現実に、スーパー等の小売店においては、「ロース」と表示されているものは、ロースの部位の肉が販売されている。同様に、スーパー等の小売店においては、焼肉用の肉についても「○○ロース」と表示されているものは、ロースの部位の肉が販売されている。このような部位表示は、昭和52年に制定された食肉小売品質基準で定められて定着している。また、料理店でも、ステーキ、トンカツ等の料理名に「○○ロース」等と表示されていれば、その料理にはロースの部位の肉が使用されている。
このような状況の下、消費者は、「○○ロース」等といえばロースの部位であると認識しており、焼肉用の肉においても「○○ロース」等と表示されていればロースの部位の肉が使用されると認識する。焼肉業者の間で、「○○ロース」等が料理名を意味し、ロース以外の部位の肉を提供する料理の料理名として「○○ロース」等と表示することが常識とされているとしても、消費者は、「○○ロース」と表示されていれば、それはロースの部位の肉が使用されていると認識することとなる。
したがって、もも肉等、ロース以外の部位の肉を使用しているにもかかわらず、メニューに「○○ロース」等と記載することは、焼肉料理の内容について、一般消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示す表示をするものであり、景品表示法第4条第1項第1号に違反する。
【 消費者庁の対応】
前記のような状況の下で、焼肉業者における表示の適正化を行うためには、調査対象となった焼肉業者の固有の問題として措置を採るよりも、実際にはロース以外の部位の肉を使用した焼肉料理に「○○ロース」等と表示することが景品表示法に違反する不当表示であることを焼肉業者間に周知し、焼肉業者間での、「○○ロース」等は料理名であり、実際にロース以外の部位の肉を提供する料理に「○○ロース」等と表示しても構わないという認識を改めること、また、消費者に対して、このような不当な表示が行われていることについての情報提供を行うことが必要である。
このため、関係団体に対して、実際にロース以外の部位の肉を提供する料理に「○○ロース」等と表示することが景品表示法に違反することを伝え、傘下焼肉業者への周知及び指導を求めた。消費者庁としては、今後、改善状況について注視し、同種の景品表示法に違反する表示が続いていると認められた場合には、違反事業者に対して厳正に対処する。
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