「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂(経産省)
平成20年8月の前回改訂から2年経過していた「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」について、経済産業省から本日改訂版が公表されました。
→ 経済産業省サイト報道発表
この準則は、平成14年に「電子商取引に関する準則」として公表され、改訂、名称変更が行われてきたものです。
準則の中身は、産業構造審議会情報経済分科会ルール整備小委員会において取りまとめられているもので、電子商取引、情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係する法律がどのように適用されるのかを示す法解釈の指針です。本文が276頁という大部のものですが、経済産業省サイトからダウンロードすることができます。
→ 準則本文(PDF・2095KB)
今回の改訂内容は以下の通りであり、越境取引に関するものを除けば、特定商取引法や著作権法などの改正に伴う修正がほとんどです。
(1)越境取引に関する論点の追加、修正
◆越境取引の論点において、これまで扱っていなかった国際裁判管轄についての記載を追加
◆越境取引の論点において、平成21 年8 月1 日より我が国でも発効しているウィーン売買条約についての記載を追加
◆生産物責任についての論点を新たに追加
(2)法改正、裁判例の追加に伴う修正
◆特定商取引法改正に伴う修正
指定商品・指定役務制の廃止。
消費者があらかじめ承諾・請求しない限り、電子メール広告
の送信を禁止。(オプトイン規制の導入)
返品の可否・条件を広告に表示していない場合は、8日間、
送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能に。
◆景品表示法改正に伴う修正
公正取引委員会から消費者庁に移管。
◆商品取引所法改正に伴う修正
名称を商品先物取引法に変更(未施行)。
広告等についてプロアマ規制の導入(未施行)。
◆著作権法改正に伴う修正
違法にアップロードされた音楽・映画などの録音物・録画物
を、違法にアップロードされたものと知りながらダウンロード
する行為は、私的使用を目的とする場合であっても違法に。
◆裁判例の追加による修正
インターネット・オークション事業者の責任等に関連して、
名古屋地裁平成20 年3 月28 日判決とその控訴審判決である名
古屋高裁平成20 年11 月11 日判決(確定)の紹介。
P2Pファイル交換ソフトウェアの提供者の責任に関連して
大阪高裁平成21 年10 月8 日判決(上告中)の紹介。
(3)その他、誤記修正等
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