また、悪質ドロップシッピング業者に業務停止命令
今日は、非嫡出子の法定相続分の民法規定についての裁判に関して、大法廷に回付されたと報じられています。これ民法によって、非嫡出子が嫡出子の半分の相続割合とされている現在の規定に関して、憲法違反の判断が最高裁によってなされる可能性が出てきました(もちろん、そうと決まったわけではありませんが)。
私もこの民法規定は違憲であり見直すべきと考えます。ただ、今回の大法廷回付により、現実に非嫡出子を含む遺産分割の事案をどう考えるか、また、過去に民法規定に従って分割済みの事案がどうなるのか、など、実務的にも悩ましい問題に直面することになりそうです。
さて、悪質ドロップシッピング業者の問題については、当ブログで何度か取り上げています。
→ 「アフィリエイトとドロップシッピング」(07/2/12)
→ 「アフィリエイト、ドロップシッピングの危険性(東京都)」(09/2/7)
→ 「『ドロップ・シッピング被害110番』(大阪弁護士会)」(09/4/28)
→ 「DS集団訴訟第1回弁論期日だったので」(1/27)
→ 「悪質ドロップシッピング業者に対する業務停止命令(東京都)」(3/1)
→ 「悪質ドロップシッピング業者ウインドに対する業務停止命令など
(消費者庁)」(4/10)
これらでも紹介しましたように、最近、消費者庁や東京都が、悪質ドロップシッピング業者に対して、特定商取引法の「業務提供誘引販売」の規定に違反するとして、業務停止命令を出していました。対象業者は計3社(ネット、バイオ・インターナショナル、ウインド)です。
そして、本日、消費者庁長官から権限委任を受けた関東経済産業局長が(特定商取引法69条3項)、株式会社IB(今年3月に株式会社インタービジネスから会社名を変更しています。)に対して、明日10日から12ヶ月間、業務提供誘引販売取引に関する新規の勧誘、申込み受付及び契約の締結を停止するよう命じました(特定商取引法57条1項)。また、特定商取引法56条1項に基づいて、「営業員が、確実に収入が得られる保証がないにもかかわらず、確実に高収入が得られるかのように告げて勧誘していたことが、それは虚偽である。」旨を、契約した者に対し通知するよう指示しています。
認定された違反行為は、以下のような不実告知、誇大広告、広告における表示義務違反及び交付書面の不備記載です。
- 業務提供利益に関する事項に係る不実告知(同法52条1項4号)
同社は、業務提供誘引販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、相手方に対して「ビジネスプラン80万円の人は、月に収益15万円は取っているとみんながいっています。」などと、確実に高収入が得られる保証がないにもかかわらず、確実に高収入が得られるかのような不実を告げていた。 - 誇大広告(同法54条、省令42条2号)
同社は、同社のホームページにおいて、「1日『30分の作業』で月に30万円』以上稼げる!」などと記載していましたが、これらの記載は根拠がないものであった。 - 広告における表示義務違反(同法53条3号、省令41条2項)
同社は、同社のホームページにおいて、特定商取引法に定められた事項を当該広告に表示しなければならないにもかかわらず、業務提供利益の指標を表示するときに、業務提供利益の見込みについて正確に理解できるように根拠又は説明を表示していなかった。 交付書面の記載事項不備(同法55条1項、2項、省令43条、44条、45条)
同社は、契約を締結するまでに交付しなければならない業務提供誘引販売業の概要について記載した書面に、必要記載事項を正しく記載しておらず、また、契約を締結したときに交付しなければならない契約の内容を明らかにする書面についても、必要記載事項を正しく記載していなかった。
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コメント
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サイト、ナビ、トップなど警視庁に特定商取引法違反(不実の告知)の容疑で家宅捜索されて連絡不能になった悪質ドロップシッピング業者も存在します。
投稿: | 2010年7月12日 (月) 01時20分
業務停止6ヶ月と記事で読みましたが、その後再開するのでしょうか・・
投稿: piyo | 2010年7月30日 (金) 17時03分
piyoさん
どの業者のことを指しておられるか判りませんが、処分を受けた業者のほとんどは実際には処分前に既に業務停止状態になっていましたからねぇ。
投稿: 川村 | 2010年7月30日 (金) 17時16分