課徴金減免制度の不適用事案か(独禁法)
大型連休もいい天気ですね。私は今年はどこにもいかず(毎年かもしれませんが)、映画を見にいったりなどしています。いよいよ明日一日だけになってしまいましたが、明日は、高校生になった子供を連れて、クラシックのコンサート(といっても本格的なものではないです。)に行く予定です。
さて、先日来、報道されている事件ですが、公正取引委員会は、平成20年に立入検査していたシャッター販売に関するカルテル事件について、シャッター大手3社(三和シヤッター、文化シヤッター、東洋シャッター)に対して排除措置命令と課徴金納付命令を出す方針を固めて、事前通知したことが伝えられています。これは、建設業者などへのシャッター価格について、メーカーがカルテルを結んでいたとされるものです。
この事件について、昨日、読売が報じるところでは、この件について、独占禁止法の課徴金免除制度に基づく自主申告をした業者のうち、文化シヤッターに関しては、同制度による課徴金減免制度を適用を認めない方針であるということです。
課徴金納付命令については、独占禁止法7条の2というところに規定されているのですが、この条文の10項以下に課徴金減免制度(リニエンシー)が規定されています。この手続については、このブログでも何度か触れていますので、省略しますが、要するに、公正取引委員会に対して自主申告した業者に対して課徴金を免除または減額する場合があるというものです。
ところが、この独占禁止法7条の2の第17項は、自主申告による減免制度が適用される場合であっても、それが認められない場合を挙げています。
それは、その事業者のした報告や資料に虚偽の内容が含まれていた場合や、他の事業者に対し違反行為をすることを強要したり、違反行為をやめることを妨害していたような場合です。ただし、これまで、この規定が適用されて、課徴金減免が認められたことはありません。
今回の読売の報道によれば、公正取引委員会は、文化シヤッターの申告について「調査妨害に等しい意図的な申告」と判断した模様です。同社が立入検査後にいったん自主申告を行ったのに、その後、カルテルを否定するような修正の追加資料を再提出したということのようですね。
以上は、あくまでも当事者への事前通知であって、公正取引委員会から正式に命令が出されたわけではありませんので、公表を待ちたいと思います。
なお、文化シャッターは既に、同社サイトに「公正取引委員会からの事前通知書の受領に関するお知らせ」を発表しています(4月30日付)。
→ 文化シャッター発表資料(PDF)
ここでは、公正取引委員会からの事前通知を4月30日に受領したことを認めたうえで、「当社と致しましては、公正取引委員会からの事前通知書には、当社の判断や解釈とは異なる部分があるため、同委員会からの説明を受けた上でその内容を精査し、慎重に対応してまいる予定です。」としています。
場合によっては、この減免制度の適用の可否についての初めての争いになるかもしれませんね。
« アップル製品のネット通販中止 | トップページ | 恩師を偲ぶ会 »
「法律」カテゴリの記事
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
- 台風被害によるマラソン大会の中止と参加費の返金(2022.05.13)
- 「クレベリン」(大幸薬品)措置命令まとめ(2022.05.05)
コメント