アップル製品のネット通販中止
いよいよ大型連休が始まりました。私の事務所もカレンダー通りなので、明日から5連休です。もっとも、私は、1,2度は事務所に出て仕事をすることになりそうです(苦笑)。それに、机の周りもちょっと片付けないといけない状況になっていますので、この機会に整理してしまいたいと思っています。それと、5月半ばに講演仕事が連続でありますので、その準備作業にも充てないといけません。
さて、先日から、アメリカのアップル(Apple)社の製品について、ヨドバシカメラなどの大手量販店のネット通販から消えていっていることが話題になっています。アップル社の製品と言えば、携帯音楽プレーヤーのiPodやパソコンのiMacなどですが、これらがネット通販では買えなくなっているのは、どうやらアップル社の方針のようです。各社の報道を総合すれば、ヨドバシ以外でも、ビックカメラ、コジマ、ヤマダ電機、ソフマップ、ケーズデンキ、エディオン、上新電機なども同様のようです。一方、Amazonでは、取り扱っているようです。
当事者らがだんまりのようで、アップル社と量販店との間でどのようなやりとりがあったのか分からず、正確なことはいえないのですが、新聞報道をみると、公正取引委員会も注目している模様であるとされています。単にネット通販をやめさせるということだけでは違法行為とはいえませんが、これが、安売り防止のための手段となっているならば、事情によって「単独ボイコット(取引拒絶)」「拘束条件付取引」などとして、独占禁止法上の「不公正な取引方法」に該当する可能性が出てきます。近々、話題の「iPad」も日本で販売が開始される予定で、この製品が日本でも人気を呼ぶのは確実という状況ですので、今回のネット販売の中止に関して、今後の動向が注目されます。というより、今回の通販中止に関しては、その時期からみて、この「iPad」の販売開始と何か関連しているのではないか、という気もするのですが(単なる私の想像ですが)。
なお、アップル社に対しては、1999年12月に、自社製品の小売販売価格を維持しようとした疑いで本社や卸売店に公正取引委員会が立入調査を行ったということがありました。ただ、このときは、結局、排除措置などの処分が出されないままになっています。
【追記】(4/30)
このブログ更新をツイッターで通知したところ、大阪のある弁護士さんから、元アップルの福田尚久氏(@naohisafukuda)がツイッター上で、この問題についていくつかのツイートをしておられることを教えていただきました。(ありがとうございました。)
ツイッター上で、福田氏は、
「ネット販売と店舗販売では、コストと目指すべき効果が大きく異なるため、マージンを含めて異なる契約にするべきだが、日本ではその実行が遅れていた(リーダーシップの問題だと推測)。それを今回は実行しているのではないだろうか。」としておられます。また、1999年の公取立入についても、再販価格拘束の事実はなかったことを述べておられます。
ご参考まで。
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