また独禁法改正?と下請法違反勧告事件
また更新が止まってしまいました。ちょっと忙しい状態がつづいてますのですみません。
さっきツイッター(Twitter)で、民主党の藤末健三参議院議員が、「この国会で独禁法を改正します。優越的地位の濫用の取締を強化します。」と書いておられるのをみて、えっ、と思ったのですが、そんな動きがあるのでしょうか。確かに民主党のマニフェストはそのような方向の話は書いてはいますが。
要するに、大企業による中小企業いじめが問題なので、独占禁止法の優越的地位濫用行為や下請法による規制を強化しようということです。ただ、どのような規制強化をしようとするのか、藤末議員のtweet(つぶやき)だけからは分かりませんが、全国にたくさんある中小企業いじめ事案をつぶしていくには、法令上の規制を強化してもあまり実効性はなく、現実に違反行為を摘発していくための人手を増やす、つまり公正取引委員会の組織強化の必要があると思います(もちろん支出増につながります)。
ところで、ブログ更新をさぼっている間に、今年に入って下請法違反事案に対する公正取引委員会の勧告が4件出ています。いずれも下請代金の不当減額事案に関するものです。
対象事業者は、コイズミ物流株式会社(大阪府東大阪市 貨物運送)、諸星運輸株式会社(神奈川県小田原市 貨物運送)、丸眞株式会社(名古屋市守山区 タオル等製造)、株式会社とりせん(群馬県館林市 食料品等製造)となっています。
これらの勧告については、いつものように公正取引委員会のサイトにそれぞれの事件についての資料が掲載されていますが、2月3日付の公取委事務総長会見でも触れられています。
→ 公取委サイト 事務総長会見記録(2/3)
この会見では、上記勧告の紹介に続いて、「中小事業者取引公正化推進プログラム」の実施状況や独占禁止法適用除外制度の見直しなどについても説明がなされています。ただ、ここでも、上記の藤末議員の言うような法律改正の話は全く出ていません。あくまでも現行法下での取り締まりや啓発の強化方針が語られているのみです。
蛇足ですが、キリン・サントリー統合白紙の報道前のため、その話の進捗状況についての質疑応答もなされてますね。
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