不当廉売ガイドライン改定案のパブコメ(独禁法)
公正取引委員会から、今回の独占禁止法改正に伴う不当廉売ガイドライン等の意見募集(パブコメ)が発表されました。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
不当廉売ガイドライン(正式には「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」)は昭和59年11月20日に公正取引委員会事務局から出されたものですが、今回の独占禁止法改正(平成22年1月施行予定)により、不当廉売も課徴金納付命令の対象になることもあって、不当廉売の要件を明確にしようというものです。
また、同時に、不当廉売や差別対価などに関する業種別ガイドラインである「酒類の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(酒類ガイドライン)、「ガソリン等の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(ガソリンガイドライン)、「家庭用電気製品の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(家電ガイドライン)の改訂案についても、パブコメの対象となっています。
不当廉売は、独占禁止法の「不公正な取引方法」の一つとして禁止されていて、他の行為同様に独占禁止法2条9項に基づく公取委告示「不公正な取引方法」(いわゆる一般指定)の中で指定されていたものです。
その中で「正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」については、今回の改正で、課徴金納付命令の対象となることとなったため、告示から法律へと移されたものです。今回の公正取引委員会のパブコメの文章を見ていると、この法定化された行為を「法定不当廉売」と呼んでいますね。なお、この行為を行うことに加えて、その事業者が、過去10年以内に法定不当廉売を行ったとして行政処分を受けたことがあるなど一定の条件を満たす場合に、課徴金が課せられることとなっています。つまり不当廉売を繰り返すような悪質な行為に課徴金が課せられるわけです。
公正取引委員会は、このような改正にともなって、法運用の透明性を一層確保し、事業者の予見可能性をより向上させる観点から、ガイドライン改正に至ったとしていますが、今回の改正案では、特に「供給に要する費用を著しく下回る対価」の考え方に重点を置いているようです。
なお、意見の締切は、11月9日18時となっています。詳細は、公取委サイトをご覧ください。
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