公正取引委員会の平成22年度概算要求
8月末の国の各省庁の概算要求のことがニュースになっていましたけど、公正取引委員会も当然ながら、概算要求を出しています。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
「概算要求」制度の是非はともかくとして、これを見れば、各省庁が次年度以降にどういった政策を実施しようと考えているのかの概要がある程度はわかるわけです。次年度予算は、どの省庁も同じことですが、民主党政権がどのような方針で臨むのか、まだ分からない状態ですので、今後が注目されます。
で、公取委は、平成22年度における課題として、特に次の4つに積極的に取り組むとしています。
1.厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用
2.中小企業に不当な不利益を与える行為の取締り強化
3.競争環境の整備
4.競争政策の運営基盤の強化
そして、前年度比約9億84百万円(約12%)増の予算を要求することとしています。また、独占禁止法の執行力を強化するための体制の整備、下請法の運用体制の充実等を行うため71名の増員を要求しています。
4つの課題について、それぞれ内容を見ても、特段、具体的に目新しいものはなさそうでしたが、
2の中小企業関連については、予算と人員の増加の要求が大きいようですね。この課題について、公取委は、「・・・中小企業に不当な不利益を与える優越的地位の濫用(例:大規模小売業者と納入業者間の取引,荷主と物流事業者間の取引における濫用行為)や不当廉売,差別対価等の行為,製造分野・サービス分野における下請法違反行為に対して迅速・厳正に対処する。」としています。
また、4の競争政策の運営基盤の強化の課題のところで、「複雑化する独占禁止法違反事件等に対する厳正な対処,経済分析能力の向上等を図るため,法曹資格者,エコノミスト等の多様な人材の積極的受入れに努める。」としており、弁護士等法曹資格者の登用もさらに積極的に考えるのかな、というところに注目しておきます。
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