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2009年7月28日 (火)

第1回審判期日のJASRAC意見陳述(独禁法)

 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) の放送事業者との音楽著作物使用料の算定方式が独占禁止法(私的独占)に違反するとして、公正取引委員会が出した排除措置命令に関連しては、当ブログでいくつか触れてきました。

 → 「JASRACへの排除措置命令(私的独占・公取委)」(2/27)
 → 「JASRACが排除措置命令に対して審判請求(独禁法)」(5/4)
 → 「JASRACの独占禁止法問題についての公取委インタビュー記事など
     (日経BP ITpro)」
(5/12)

 で、この事件につき、審判手続の第1回審判期日が、昨日開かれました。JASRACのサイトで、当日のJASRACの意見陳述内容が公表されています。
 → JASRACサイト「公正取引委員会における審判手続の開始について」

 この意見陳述は、審判手続の開始に当たって、排除措置命令の違法性の主要部分を述べるためのものとしており、詳細は今後明らかにするとのことです。

 今回の意見陳述の詳細は上記リンクを見ていただきたいですが、「JASRACは、管理事業法を遵守し、合理的な契約交渉をして、合理的な料率での使用料に合意したのであるから、本件命令は私的自治の要素を成す契約交渉の過程と結果に対する違法な介入である。」とし、「JASRACは・・・・、著作権という知的財産権の適正な実現に寄与する団体であるが、本件命令はこの知的財産権の適正な実現に対する脅威でもある。 」としています。さらに、「放送等事業における音楽著作物の利用に関する包括契約・包括徴収という世界のどこでも実施されているシステムを正しく評価していないことが今回の命令につながったのであり、本件命令は正に「木を見て森を見ない」ものという外ない。 」と、公正取引委員会の排除措置命令に対して強烈に批判を行っています。

 JASRAC自体は多くの人が知っていて、おなじみの団体であるにも関わらず、その著作権管理事業や著作物の使用契約の内容について、それほどちゃんと理解されていないからでしょうか、掲示板などでのネット上の意見は、単にJASRACの音楽著作権事業一般についての批判・反発というだけのものが多く、排除措置命令が対象としたJASRACと放送事業者との契約内容や他の著作権管理事業者との関係などを理解したうえでの発言は見あたらないですね(かくいう私も決して偉そうにはいえませんが)。

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コメント

>排除措置命令が対象としたJASRACと放送事業者との契約内容や他の著作権管理事業者との関係などを理解したうえでの発言は見あたらないですね

本質的にJASRACの使用料は認可(届出)制度による国が関わる料金で、すなわち公共料金に当たります。JASRACは全て市場論理で自由価格だから公取委介入不当と言ってますが、それが成り立つ競争環境を国が制御するのは制度上当然ですが、文化庁がこれを怠った結果、JASRACの過度な市場独占環境が保障されてしまったのです。その結果、通常の独禁法水準での国の是正(公取委介入)が必要になってしまってるのです。

本来は国が著作権管理事業のあるべき適正な競争環境の設計を行い、それに合致できない旧体制(JASRAC)の部分領域を解体し新体制へ再編させなければならなかったのです。電信事業自由化でのNTT解体の徹底に照らし考えるべきです。文化庁は何もやってないも同じですね。

 詳しいコメントありがとうございます。
 この音楽著作権管理事業分野について、私は専門家ではないので、適切なお返事ができず恐縮です。
 ただ、少なくとも、著作権問題を文化庁に委ねておける時代ではないことは確かですね。私は個人的には(そして素人的には)、著作権というものを一度解体して、いくつかの体系に分けていかないと、もはや対処不可能であると思っています。

政府直の知財推進がガイドラインを作成し、経済産業省、公取委、新設の消費者庁、文化庁(経済機構面から離脱)、の横断的連携による根幹からの機構改革を断行するしかありません。既に知財推進本部は重々理解しているはずです。JASRACと文化庁の持たれ合いによる非論理を(その本質は公取委への反論に完全表出状態です)、国が許していては、他の主軸生産業の衰退、世界基準での新産業体制からの脱落など、急激な国力衰退の主因になる状況であります。

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