シャンピニオンエキス不当表示事件の審判開始(公取委)
公正取引委員会が本年2月3日付で行った排除命令(景品表示法違反)について、排除命令の対象事業者ではない会社(対象商品の原料であるシャンピニオンエキスの製造会社)が、この排除命令を不服として公正取引委員会に対して審判請求を行ったことは、以前触れました。
→ 「口臭、体臭等の消臭効果についての不当表示(景表法)」(2/3)
→ 「排除命令の対象でない者による取消審判申立(景表法)」(3/8)
この審判請求に対して、公正取引委員会は6月2日付で、審判手続を開始する旨を審判請求をした(株)リコムに対して通知しました。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
ただ、今回の審判開始は、通常の場合とは異なっていて、「本審判手続の範囲を株式会社リコムによる審判請求が独占禁止法第66条第1項に規定する「不適法であるとき」に当たるか否かに限定して」審判手続を開始したとされています。
(景品表示法違反の排除命令の手続に関しては、独占禁止法の手続規定を準用。景表法6条2項参照。ただし、今回の消費者庁への景表法移管になると、この点も大きく変わり、一般の行政処分と同様に行政不服審査法に基づくことになると思います。)
独占禁止法52条3項は、審判請求があった場合に独禁法66条1項の場合を除き、審判手続を開始しなければならない、と定めています。で、この独禁法66条1項は、上のところにも出てくる条文なわけですが、これは、「審判請求が法定の期間経過後にされたものであるときその他不適法であるときは、公正取引委員会は、審決で、当該審判請求を却下する。」となっています。今回の審判手続では、この「不適法であるとき」に該当するかどうかのみに限定して審判手続を開始したというのですから、まずは、(株)リコムの審判請求が適法か否かに限って審理を行い、不適法ならば却下しようということのようです。反対に、請求が適法ということになれば、改めて通常の審判開始をして、中身についての審理を始めるということになるのでしょうね(たぶん)。
もちろん今回の審判手続での争点は、冒頭の当ブログ3月8日付記事でも書きましたように、排除命令の対象業者以外の会社である(株)リコムによる審判請求手続が許されるか否か、という点になるはずです。興味深いところですので、注目したいと思います。
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