三菱UFJ証券の個人情報流出事件における企業対応
三菱UFJ証券の個人情報流出事件については、いろいろと報じられてきたところですが、昨日(5/20)、新しい報道等がありました。
同社の4月の発表内容によれば、平成20年10月3日から今年1月23日までに新規口座あるいは投信ラップ口座を開設した顧客49,159名の情報を、同社システム部元社員(元部長代理とのこと)が個人の顧客情報を不正に取得し、同社との関係を秘匿して名簿業者へ売却した、とのことで、流出情報は、氏名、住所、電話番号(自宅・携帯電話)、性別、生年月日、職業、年収区分、勤務先名、勤務先住所、勤務先電話番号、勤務先部署名、役職、業種となっています。
昨日報じられているところによると、情報の流出先は当初発表から増えて、95社にものぼるということで、名簿を回収できたのは内25社。いまだに不動産投資などの勧誘をしてくる業者がいるとのことです。今回の流出情報は、リーマンショック後の経済状況にもかかわらず証券会社に新規口座等を開設された個人の情報ですので、高額商品を売りたい業者にとっては貴重な名簿ということになるのかもしれません。
同社サイトでは、この問題の取組を順次公表しています。問い合わせ窓口などの設置や、業者に対する警告、顧客への執拗な勧誘に対する対応(弁護士への委任なども含む)、勤務先に対する対応、業者に対する訴訟の検討、再発防止策の策定などですが、このような問題は他人事ではないものですので、他山の石として対応策の参考にさせていただくことも重要かと思います。
→ 三菱UFJ証券サイト
「お客様情報流出における弊社対応について」
なお、同社サイトでは、情報が流出した人に「お詫びのしるし」をお渡しする、としていますが、新聞報道などでは、これは、1人1万円相当のギフト券の送付ということですね。5万人として、全部で5億円と送付に関する経費がこれだけでかかってしまう計算です。1万円が高いか安いかの議論は置いておいても、大きな企業でなければ対応できない金額ですね。
【追記】(6/25)
本日(6/25)、当時のシステム部部長代理が不正アクセス禁止法違反および窃盗の容疑で逮捕され、さらに、金融庁が、三菱UFJ証券に対して行政処分(金融商品取引法に基づく業務改善命令と個人情報保護法に基づく勧告)を行っています。
→ 三菱UFJ証券プレスリリース
「弊社元社員の逮捕について」
「金融庁による行政処分について」
→ 金融庁サイト報道発表資料
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