医薬品ネット販売規制に対する行政訴訟提起(薬事法)
改正薬事法の施行に伴う厚生労働省令によって医薬品のネット販売が規制されることについて、一昨日でしたか、楽天の三木谷社長が訴訟も辞さないとの構えであるとの報道があり、どういう形の訴訟になるのかな、と思っていたら、昨日、医薬品のネット販売のケンコーコムとウェルネットの2社が東京地方裁判所に行政訴訟を提起したと発表しています。
訴訟の内容は報道からしか判りませんが、「医薬品のネット販売を行う権利の確認」と「厚生労働省令の無効確認または取り消し」を求める行政訴訟とされています。
原告訴訟代理人となっている阿部泰隆弁護士は、あの行政法学者として高名な阿部先生ですよね。阿部先生が神戸大学におられた当時、私が豊田商事被害国家賠償訴訟の原告弁護団に参加していたときに、何度か弁護団の会議でお話をお聞きしたことがありました。
この訴訟では、この厚生労働省令が、憲法で保証された『営業の自由』を侵害していて憲法違反であるとの主張がなされており、いわゆる違憲訴訟となっています。
今回の改正薬事法では、リスクの低い医薬品の分類を除いては、購入者に対して「対面」での説明が原則とされ、ネット販売、通信販売は事実上できなくなってしまう、という点が問題となっていて、楽天やヤフーなどの大手ショッピングモール業者を含めて反対運動が盛り上がっていました。 ネット上での反対署名集めも話題となりました。
ただ、冒頭の三木谷楽天社長の発言を聞いて、どうやって訴訟を起こすのかな、と思っていましたが、やはり今回は、楽天などのショッピングモール業者については直接の販売業者ではないため、行政訴訟の原告適格上の問題から原告として参加することを見送ったようです。ただ、楽天も訴訟を検討中との一部報道もあります。
医薬品のネット販売の可否という政策的な問題とともに、いろいろと法的な論点もありそうで、今後注目される訴訟ですね。
【追記】(5/26)
原告のケンコーコムのサイトに昨日付にて詳細なプレスリリースが出てました。
→ ケンコーコム プレスリリース
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