「20年度下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」(公取委)
昨日、公正取引委員会が「平成20年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」を公表しています。新聞報道などでも大きく扱われていたようなので、改めてブログに書くのもどうかと思いましたが、私の覚え書きとして。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
まず、平成20年度に勧告を行った件数は15件で、平成16年改正下請法施行以降最多ということです。15件で最多、というのもなぁ、という気がしますけども。この内14件が下請代金の減額事件、1件が購入強制事件で、購入強制事案については、初めての勧告です。この購入強制事件については、当ブログでも紹介しています(あの「幻の阪神優勝記念グッズ事件」など他の勧告もほとんど紹介してるつもりですけども)。
→ 「下請へのラーメン等購入押し付けの下請法違反事件(公取委)」
(08/4/18)
また、勧告15件の内、13件が「製造委託及び修理委託」で、2件が「情報成果物作成委託及び役務提供委託」。
下請代金の減額事件では、親事業者50社から、下請事業者2,022名に対して、総額29億5133万円の減額分が返還されています。これに加えて、下請代金の支払遅延事件では、親事業者39社から、下請事業者1,456名に対して、総額2億3481万円の遅延利息が支払われています。つまり、公正取引委員会による下請法の執行によって、直接的に30億円以上が下請事業者に支払われたということであり、間接的な効果も含めれば、結構大きな影響があるのではないかと思えますので、もっと下請法の活用を考えるべきだと思います。
20年度の重点的な業種調査の対象となったのは、5業種で、過去に違反が多くみられた3業種(道路貨物運送業,自動車小売業及び一般機械器具製造業)に加えて、経済状況を踏まえて選定した2業種(電気機械器具製造業及び輸送用機械器具製造業)。実地調査を増やすなどして、重点的な調査を実施しているところで20年10月から21年3月までの間に、1件の勧告と465件の警告を行った、とのこと(警告事例は、上記公取委報道発表資料をご覧ください。)。
なお、この公取委の年度報告とは別に、親事業者対象の「下請取引適正化特別推進講習会」の開催の案内が公正取引委員会から公表されています。各地で6~7月に開催されるものです。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
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