英会話教室に対する消費者団体訴訟で和解成立(消費者支援機構関西)
一部で報道も流れているようですが、NPO法人「消費者支援機構関西」(KC’s)が、英会話教室「グローバルトリニティー」の運営会社(FORTRESS,JAPAN)を被告として起こしていた消費者団体訴訟で、本日、訴訟上の和解が成立しています。
和解の内容の詳細は、近々、消費者支援機構関西のWebサイトに掲載される予定と聞いています。下に、和解内容として聞いているものを載せておきます(文責は川村)。
【追記】すぐに掲載されましたね → こちらへどうぞ
この内容を見ると、本来の消費者契約法上の消費者団体訴訟で認められる差し止めの範囲を超えて、実効性ある和解内容となっていますね。単純に差し止め認容判決が出るよりも素晴らしい成果をあげた訴訟であると評価できると思います。
(和解内容骨子)
1 不当勧誘行為の確認条項
不当勧誘の停止の前提として,被告が下記の不当勧誘をかつて行って
いたことの確認。
① 営業所からの退去妨害
② 「いつでも好きなときに受講できる」等の不実告知
③ レッスン開講日及び開講時間が予め受講者のコースに応じて定めら
れており,またカリキュラムも約10日前になってようやく半月分が
発表される等の不利益事実を告げないまま,「受講期間内の受講回数
は無制限です」「他の英会話教室に比べて受講料が安い」などの消費
者にとって利益を告げる行為
④ 消費者に対し,不招請かつ執拗な電話勧誘や事業所での長時間勧誘
など,「迷惑を覚えさせるような仕方」で勧誘する行為
⑤ 消費者に対し,「この場で決断しなさい。」などの威迫的な文言を
用いたり,人格的非難にわたるような文言を用いるなどして困惑させ
る行為
⑥ 契約の締結に関する判断力が不足している消費者に対する,その判
断力の不足に乗じた勧誘行為
⑦ その財産の状況に照らして契約を締結させることが不適当な消費者
に対する勧誘行為
2 上記1①~⑦の勧誘行為の停止
本件訴訟で求めていた不当勧誘の停止及び従業員への周知徹底措置を
被告がとる。
3 消費者からの取消要求への応諾・受領代金返還
①~③の不当勧誘を行って契約をした場合,被告が消費者からの取消
要求への応諾や代金返還を行う。
4 消費者からの解約等の申出に誠実に対応
④~⑦の不当勧誘を行って契約をした場合,消費者からの解約申出等
に対して、被告は誠実に対応を行う。
5 違約金支払条項
①~③の不当勧誘を行った場合,被告は本和解上の違約金として消費
者1人あたり50万円をKC’sに支払う。
6 従業員への周知徹底,研修指導
従業員に対して,本和解内容を周知徹底し,適切な研修指導を行って,
不当勧誘停止の実効化をはかる。
7 周知徹底措置の実行状況の報告
被告は上記6の措置の実行状況をKC’sに書面で報告する。
8 消費者が和解内容についての正確な情報にアクセスすることを確保
被告は,本和解成立について消費者に示す場合には,和解条項全文か,
KC’sのホームページのURLを示す。
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