神奈川県教委情報流出事件についての仮処分決定
町村教授のmatimulogで知ったのですが、読売の報道で、昨年の神奈川県立高校に関する大量の個人情報流出事件について、東京地裁で情報発信禁止の仮処分決定が出されたとのこと。
この個人情報流出事件自体については、当ブログでも書いたことがありました。
→ 「公的組織の情報流出事件が続いてますね」(1/10)
この仮処分事件に関して、神奈川県教育委員会から受託を受けていて情報を流出させてしまった日本IBM自身が、昨日付で自社サイトで公表しています。
→ 日本IBMサイト
「個人情報流出に関する対応状況お知らせ」(3/13)
これによれば、仮処分事件は2件に分かれていて、同社サイトの記事では、
「本件の起因となった弊社業務委託先社員がウィルス感染により流出させた情報を取得して意図的に情報の拡散を図ったと見られる人物に関して、昨年12月より該当のISPに対して、発信者情報の開示請求を要請して参りましたが、プロバイダー責任制限法に規定された発信者保護の観点から、任意の開示にいたりませんでした。このため、弊社は去る2月9日に、東京地方裁判所に当該プロバイダーに対しての「発信者情報の開示」の仮処分の申し立てを行い、2月26日当該仮処分の発令を得るに至りました。
現行のプロバイダー責任制限法のもとで、「発信者情報の開示」が仮処分の段階で認められたことは、今回がおそらく初めてのケースであると思われます。
更に3月5日、弊社は当該人物を相手方として、東京地方裁判所に対して「情報の再発信の禁止」の仮処分の申し立てを行い、翌6日に当該仮処分の発令を得ました。
既に当該人物に対して裁判所から仮処分の通知がなされており、弊社は当該人物の対応を注意深く見極めて参ります。」(下線は川村)
つまり、プロバイダに対する「発信者情報開示の仮処分」と、これに基づいて判明した発信者に対して「情報再発信禁止の仮処分」を申し立て(2月9日と3月5日に申立)、2月26日と3月6日に、それぞれ認められて仮処分決定が出た、ということになります。
町村教授も触れられていますが、読売が記事の中で、「県教委と接続事業者(プロバイダー)に対して仮処分を申し立てた日本IBM・・・」としている表現の「県教委」の意味は不明です。
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