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2009年3月25日 (水)

単独相続の遺言と相続債務に関する最高裁判決

 最高裁サイトに出ていた最高裁判決ですが、この原審である福岡高裁判決は、1年半ばかり前に当ブログで取り上げたものですね。
 → 「単独相続させる旨の遺言と相続債務」(07/10/11)

 そのときに「最高裁がどう判断するか、興味あるところです。」と書いておきましたが、今回、上記の高裁判決を支持する形で上告棄却判決がなされています。

 平成21年3月24日 最高裁第三小法廷判決
        持分権移転登記手続請求事件
   
(原審 平成19年6月21日 福岡高裁判決)   

 判決の要旨としては、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ、当該相続人が相続債務もすべて承継した場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない、というものです。

 上の部分は、遺留分の算定という場面の話なのですが、その結論に至る前の段階のところで(下線は川村)、

「本件のように,相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。」

 としたうえで、続けて、

「もっとも,上記遺言による相続債務についての相続分の指定は,相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから,相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当であり,各相続人は,相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには,これに応じなければならず,指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである。」

 としています。これは、原審の福岡高裁判決の判断と一緒であり、実務上重要な部分かと思います。

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» 平成21年3月24日最高裁判例 単独相続、遺留分と消極財産 [遺産分割相続登記相談窓口 STAFF BLOG]
弁護士さんのブログで見つけた判例を紹介します。 平成21年3月24日 最高裁第三小法廷判決 持分権移転登記手続請求事件 (原審 平成19年6月21日 福岡高裁判決) 判決の要旨としては、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ、当該相続人が相続債務もすべて承継した場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない、というものです。 引用元:単独相続の遺言と相続債務に関する最高裁判決 弁護士 川村哲二(覚え書き... [続きを読む]

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