排除命令の対象でない者による取消審判申立(景表法)
2月3日付にて、公正取引委員会が、「シャンピニオンエキス」を使用して口臭、体臭、便臭を消す効果を標ぼうする商品の製造販売業者7社に対して、景品表示法違反(優良誤認)として、排除命令を行ったことは、当ブログで紹介いたしました。
→ 「口臭、体臭等の消臭効果についての不当表示(景表法)」(2/3)
この排除命令に対して、命令の対象となった7社ではなく、シャンピニオンエキスの製造メーカーが異議を申し立てているという記事が、2月12日の日刊ゲンダイに出ていたようです。同社は、20年の研究で積み重ねてきたシャンピニオンエキスの消臭効果に関する資料を公取委へ提出したそうです。
そして、その後、この製造メーカー、株式会社リコム(東京都豊島区)は、上記の排除命令を不服として、「3月2日付で、公取委に対し2月3日付でシャンピニオンエキス配合製品に出された排除命令を不服とし、全部取消しの審判請求を顧問弁護士によって行いました。」(同社サイトより)とのことです。同社は、自社のwebサイトにおいて反論(2/4)を行い、日刊ゲンダイの記事(2回)を掲載(2/13,2/18)しているのですが、3月2日に、上記の審判請求の事実を公表しています。
→ 同社サイト「ニュースレター」
表示の不当性についての議論は別として、この審判請求では、手続法上の論点がありますね。つまり、公正取引委員会からの排除命令という行政命令の相手方(7社)ではなく、命令の対象となっていないリコムが審判を請求することができるか?という当事者適格に関する点です。同社が処分対象ではないとはいえ、同社にとって今回の排除命令は重大な関係があることは確かですので、今回のこの論点の行方は今後注目されるところと思います。
同社サイトに載せられた「審判請求書内容」は以下の通り。
- シャンピニオンエキスには口臭、体臭及び便臭を消す効果を裏付ける学術文献を含むデータにより合理的根拠がある。
- シャンピニオンエキスの消臭効果は医療機関と共同で行なった臨床試験で科学的に確認されている。
- 日本国の特許公報において、シャンピニオンエキスの消臭メカニズムと効果は特許承認されている。
【追記】(6/4)
公取委が審判請求の適法性の部分に限って審判を開始するとの決定をしました。
→ 「シャンピニオンエキス不当表示事件の審判開始(公取委)」(6/4)
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