メロンパン移動販売フランチャイズ契約についての判決(仙台地裁)
昨日の東京マラソンで女子トップの那須川選手にくっついていた長い頭の仮装ランナーは、今月1日の篠山ABCマラソンの優勝選手だったそうな。私も篠山マラソンに出て、トップの選手たちとはすれ違ってるので、その中にいらした訳ですね(笑) でも、東京マラソンのあの強風の中、あの頭では相当大変だったはずで、大したもんだと思います。あの頭を見て、上方落語の『手水廻し』を思い出してしまった。
本題は、メロンパンの移動販売店のフランチャイズ契約に関する仙台地裁判決のメモです。事案はちょっと複雑ですが。
平成21年2月26日仙台地裁判決 債務不存在確認等請求事件
自動車を使用するメロンパンの移動型パン販売業に関するフランチャイズ契約(本件では賛助会員契約)について、加盟店側にあたる原告ら(複数)が、その本部(企業組合)、自動車販売業者、クレジット会社を被告として起こした訴訟。以下、省略してご紹介。実際は、原告によってちょっと請求内容が異なります。
原告らは被告企業組合が販売先獲得義務などの契約上の義務を履行しなかったこと、又は、販売車両の売買契約が錯誤無効ないし詐欺により取消し得べき契約であること、若しくは、賛助会員契約・販売車両の売買契約が特定商取引法上の業務提供誘引販売取引に該当するとして同法上のクーリングオフないし取消権の行使が可能であること等を主張して、被告クレジット会社に対しては債務不存在の確認を求め(車両代金のクレジット契約関係)、被告企業組合及び被告自動車販売業者に対しては、加盟金・組合費の返還、損害賠償の支払を求めたものです。
なお、詳しくは省略しますが、被告企業組合と被告自動車販売業者、若しくは、賛助会員契約と車両売買契約とが、密接な関係にあるものとして、法人格否認などの構成によって、原告らは主張を組み立てています。
判決は、被告企業組合が、販売先開拓義務、パン生地等供給・品質保持義務の履行を怠っていたとして、その賛助会員契約の債務不履行を認めました(原告らが他に主張した販売車両台数調整義務と収益支援義務の不履行は認めず)。
しかし、この債務不履行に基づく契約解除の効力は、販売車両売買契約には及ばないとしました。また、詐欺や錯誤に基づく取消・無効、特定商取引法上のクーリングオフ等も認めませんでした。
その結果、被告自動車販売業者と被告クレジット会社に対する請求は認められず、被告企業組合に対しては、その債務不履行に基づいて、加盟金・組合費の返還および損害賠償を認めました。被告企業組合と被告自動車販売業者との一体性ないし両契約の密接関連性に基づく被告自動車販売業者の責任は認められていません。
なお、賛助会員契約と販売車両売買契約との関係について、この判決は、「契約の締結段階においては、相互に依存しており、密接な関連性がある」としながらも、「メロンパン販売事業を展開する段階やその後の解消段階においては、両契約の間には、前記のような相互依存性は弱まり、密接な関連性があるとまでいうことはできない。」とし、これを根拠として、解除の効力が車両売買契約にまで及ばないという結論を導いています。私自身ここのところは未消化ですが、重要なところと思いますので、紹介だけしておきます。
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