修学旅行の価格カルテル(独禁法)
岡山市内の中学校の修学旅行についての旅行会社のカルテルの疑いで、公正取引委員会が立ち入り検査した、というのがニュースになっています。今まで考えたことがなかったですが、確かに大手の旅行社の立場からは、カルテルを結びたくなる市場ではありますね。公共工事の談合と同様の下地があるともいえます。
報道によれば、中学校の修学旅行について、大手旅行会社5社(JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、東武トラベル、トップツアー)の関連会社や支店が、旅行代金に含む手数料や企画料、貸し切りバス料金などについて価格カルテルを結んでいたとされているようですね。
この立ち入り検査について、JTBのwebサイトは、「㈱JTB中国四国の公正取引委員会による立ち入り検査について」において、
「3月11日、当社の連結対象会社である株式会社JTB中国四国(本社:広島県広島市、社長:秦 一男)の岡山支店が修学旅行の価格カルテルの疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。
当社としましては、立ち入り検査を受けるという事実を厳粛に受け止め、事実関係の解明を急ぎ、検査には全面的に協力する所存です。
このような皆様方の信頼を損なう事態を招きましたことを、心よりお詫び申し上げます。」としています。
また、近畿日本ツーリストは、「岡山支店への公正取引委員会による立ち入り検査について」において、
「3月11日、弊社岡山支店が、修学旅行取扱に関し独占禁止法に抵触する疑いがあることで、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。このような事態を招いたことは誠に遺憾であり、事実関係の解明を急ぎ、公正取引委員会の検査に対して全面的に協力していく所存であります。
お客さまの信頼を失うような事態を招きましたことを、心よりお詫び申し上げます。」としています。
他社もほぼ同様ですが、容疑が事実かどうかについては認めていないという内容になっているようです。
このような立ち入り検査から、公正取引委員会の正式な処分まで結構日時はかかるのが通常です。
【追記】(7/10)
で、その正式な処分(排除措置命令)が出ました。
→ 「修学旅行の価格カルテルについての排除措置命令(公取委)」(7/10)
« オートローン会社の所有権留保中の車についての責任(最高裁) | トップページ | 液晶ディスプレイ価格カルテル事件関連の日米の話題(独禁法) »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」(井出明著 文春新書)(2021.06.08)
- 「花粉を水に変える」など光触媒マスクに対する措置命令(景表法)(2019.07.04)
- 楽天トラベルなどに立入検査(公取委)(2019.04.10)
- 県産品の納入業者に対する優越的地位濫用(独占禁止法)(2018.11.21)
- 「ダークツーリズム」(井出明著)を読んで(2018.08.04)
「法律」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
コメント
« オートローン会社の所有権留保中の車についての責任(最高裁) | トップページ | 液晶ディスプレイ価格カルテル事件関連の日米の話題(独禁法) »
突然の投稿失礼します。
元、同業者です。
私いた所は大手ではありますがほとんどが一般客の主催旅行が主の企業でしたが。この問題は氷山の一角です。ほとんど親は高い思っているはずです。
この公取委調査を報じたのはネット系ニュースのみです。新聞・民放系では全く出てないです。
そこにも疑問です…
続きはまた改めてしたいと思います。
投稿: 匿名希望 | 2010年12月12日 (日) 00時25分
コメント、ありがとうございます。
2年近く前のニュースですが、当時、新聞やテレビのニュースで報道されましたですよ。
投稿: 川村 | 2010年12月12日 (日) 08時57分