「但馬牛」「神戸ビーフ」の不当表示(景表法)
公正取引委員会の本日の公表記事としては、琴平グランドホテル(香川県仲多度郡琴平町)に対して、独占禁止法19条(不公正な取引方法14項〔優越的地位の濫用〕1号、2号)に違反するおそれがあるとされた事案の警告案件(納入業者らにディナーショーのチケットを買わせるなどの行為)がありますが、そっちは省略して(公取委サイト(PDF)をご覧ください)、もう1件の景品表示法の排除命令事案をご紹介。
公正取引委員会は、本日、フーディーズ株式会社(東京都中央区)が運営する「焼肉酒家傳々」、「焼肉茶房傳々」、「傳々分家」と称する飲食店が提供している料理に係る表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に違反する事実が認められたとして、同社に対して、排除命令を行っています。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
公取委の排除命令書を見てみると、「但馬牛」=「兵庫県産但馬牛」は、兵庫県内を出生地とし、特定の農家で肥育されること等の条件を満たした黒毛和種の牛の正肉を称するものとされていて、「神戸ビーフ」は、但馬牛のうち、未経産牛又は去勢牛のものであること、一定の脂肪交雑があること等の条件を満たしたものを称するものとされているのだそうです。
関西人ならご存じの通り、神戸は但馬地方ではありませんが、但馬の牛肉が「神戸ビーフ」と称されているわけです。
(違反事実の概要)
フーディーズ株式会社は、同社が運営する上記飲食店において料理を一般消費者に提供するに当たり、自社WEBサイト上で、「ワイの店でお出ししているのは但馬牛一本。兵庫の幼馴染の牛飼いからエエとこだけをその日のうちに仕入れるワケや。それもただの但馬牛ちゃうで。但馬牛の中でも厳しい基準を満たした「格付等級A5」以上の神戸ビーフを使こてるからそりゃもう間違えなく美味い!」と記載し、あたかも、「但馬牛」の中でも厳しい基準を満たした「神戸ビーフ」を用いているかのように、また、牛の内臓を用いる料理に「但馬牛」のものを用いているかのように表示していたが、実際には、当該料理に用いられた牛の正肉の大部分が「神戸ビーフ」ではなく、牛の内臓のほとんどすべてが「但馬牛」のものではなかった。
(排除措置の概要)
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である
と示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。
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