優良運転免許証交付等請求事件最高裁判決
珍しい事件名に引かれた最高裁判決なので、掲載しておきます。今日、最高裁サイトに出ていた判決ですが、事件の種類としては行政訴訟事件です。
平成21年2月27日 最高裁判所第二小法廷判決
運転免許証更新の際に、道路交通法所定の違反行為があったとして、神奈川県公安委員会から、優良運転者ではなく一般運転者の免許証を交付された人が、違反行為はなかったと主張して、更新処分中、一般運転者とする部分の取消しを求めるなどした裁判です。被告は神奈川県ですね。
この裁判の第1審判決は、本件更新処分中の一般運転者とする部分は行政処分に当たらないとして訴えを却下したのですが(したがって、交通違反の有無の事実の認定はしない)、控訴審では、訴えは適法であるとし,第1審判決を取り消して本件を第1審に差し戻すべきものとしましたが、神奈川県は、これを不服として上告したものです。
最高裁は、次のように判示して、控訴審判決の結論を維持して、上告棄却としました。
「確かに,免許証の更新処分において交付される免許証が優良運転者である旨の記載のある免許証であるかそれのないものであるかによって,当該免許証の有効期間等が左右されるものではない。また,上記記載のある免許証を交付して更新処分を行うことは,免許証の更新の申請の内容を成す事項ではない。しかしながら,上記のとおり,客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定される以上,一般運転者として扱われ上記記載のない免許証を交付されて免許証の更新処分を受けた者は,上記の法律上の地位を否定されたことを理由として,これを回復するため,同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有するというべきものである。」
古田佑紀裁判官の補足意見が付いています。
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