JASRACへの排除措置命令(私的独占・公取委)
前記事で気分転換・・・と書いたところだったのですが、また、独占禁止法です。報道で予告されていましたJASRACへの排除措置命令が正式に出ました。
本日、公正取引委員会は、音楽著作物の著作権に係る著作権等管理事業等を行っている社団法人日本音楽著作権協会(東京都渋谷区・JASRAC)に対し、独占禁止法3条(私的独占の禁止)に違反する行為を行っているとして、排除措置命令を行いました。
JASRACが行っている「音楽著作物の著作権に係る著作権等管理事業」というのは、わかりにくいかと思いますが、下記公取資料にその概要説明資料がついていますので、興味ある方はご覧ください。
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)
→ 当ブログの昨年4月の公取委立入検査時の記事(08/4/23)
「JASRACの私的独占行為容疑での立入検査(公取委)」
(違反行為の概要)
- JASRACは、放送事業者から包括徴収(放送等利用に係る管理楽曲全体について包括的に利用を許諾し,放送等使用料を包括的に算定し徴収する方法をいう。)の方法により徴収する放送等使用料の算定において、放送等利用割合が当該放送等使用料に反映されないような方法を採用している。これにより、当該放送事業者が他の管理事業者にも放送等使用料を支払う場合には、当該放送事業者が負担する放送等使用料の総額がその分だけ増加することとなる。
- これにより、JASRAC以外の管理事業者は、自らの放送等利用に係る管理楽曲が放送事業者の放送番組においてほとんど利用されず、また、放送等利用に係る管理楽曲として放送等利用が見込まれる音楽著作物をほとんど確保することができないことから、放送等利用に係る管理事業を営むことが困難となっている。
- 前記行為によって、JASRACは、他の管理事業者の事業活動を排除することにより、公共の利益に反して、我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限している。
(排除措置命令の概要)
- JASRACは、前記行為を取りやめなければならない。
- JASRACは、前記行為を取りやめる旨及び今後,前記行為と同様の行為を行わない旨を、理事会において決議しなければならない。
- JASRACは、前記行為を取りやめるに当たり採用する放送等使用料の徴収方法について、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。
- JASRACは、前記1,2に基づいて採った措置を自己と利用許諾に関する契約を締結している放送事業者、他の管理事業者及び自己に音楽著作権の管理を委託している者に通知しなければならない。
- JASRACは、今後、前記行為と同様の行為を行ってはならない。
【追記】(5/4)
4月29日に、JASRACは上記の排除措置命令を不服として審判請求しました。
→ 「JASRACが排除措置命令に対して審判請求(独禁法)」(5/4)
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