JASRACの私的独占行為容疑での立入検査(公取委)
今日も東京出張でした。今回は東京地裁の裁判ですけども、先週から3回目の東京です。同じ日に東京出張がまとまれば効率がいいのですが、そういうわけにもいきません。
さて、消費者庁創設の首相表明や、雑誌記事中のコメントについての損害賠償判決などなど、ここに書いておきたい話題が出てきてますが、とても整理する時間がなく、ぼちぼちと追いついて行きたいと思います(本業すら追いついていないのでご容赦)。
さて、本日の報道で目立ってますが、音楽著作権管理事業に関して有利な内容の契約を放送局と結び、著作権管理市場への新規事業者参入を不当に締め出したとして、公正取引委員会が本日、独占禁止法違反(私的独占)の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)に立入検査したとのことです。
これについても、報道以上のことはわかりませんが、放送局としては、JASRAC管理の音楽は定額で使い放題なのに、他の事業者の管理する曲を使う場合は追加支出が生じる形となっているため、放送局が新規事業者の参入を制限している疑いがあると公取委は考えているようです。
独占禁止法3条「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」
さかのぼって独占禁止法2条5項「この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」
なお、JASRACは、自らのサイトで、「公正取引委員会がJASRACに立入検査を行い、JASRACはこの検査に全面的に協力いたしました。
今後の対応につきましては、検査の結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えています。」としています。
ちなみに、同サイトでは、4月9日に「コンプライアンス宣言」をされておられますね。その宣言の中の7項に、
「 日常業務の推進にあたっては、法令や社会規範及び協会の規程等に沿って業務を行います。
(1) 著作権法、公益法人関連法、信託法、著作権等管理事業法、独占禁止法等の法令や社会規範等に沿って適切に業務を行います。 」
というのがありました。
この件に関しては、「JASRAC」への立入検査という点と、新規参入妨害による「私的独占」の疑いによる立入検査という点に、興味が引かれるところですが・・・すみません・・・それ以上、検討する時間がありません。明日夜には、独禁法公正取引研究会で、下請法についての発表をしなければならないもので。。。
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