下請へのラーメン等購入押し付けの下請法違反事件(公取委)
本日、公正取引委員会は、九州産交運輸株式会社に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項6号(購入・利用強制の禁止)に違反するとして勧告を行いました。
→ 公取サイト報道発表資料(PDF)
ここのところ続いている自動車運送事業者に対する下請法違反勧告事件ですね。
→「また・また・また貨物運送業者に対する勧告(下請法)」(3/28)など
ただし、今回の事案は、よくある代金不当減額(下請法4条1項3号)ではなく、購入・利用強制の禁止(4条1項6号)です。要するに、下請事業者に対して、物品の購入を押しつけたというものですね。
(違反事実の概要)
九州産交運輸は、貨物運送を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、ラーメン等の物品販売キャンペーンにおいて、役員及び従業員の知人のほか取引先に購入を要請するという方針のもと、あらかじめ、本社各部,支店,営業所等の部門ごとに、販売目標数量を定め、下請事業者に対し、下請事業者との取引に係る交渉等を行っている支店,営業所等の長又は配車担当者を通じて、具体的な数量を示し、販売目標数量に達していない場合には既に購入した者に対し再度要請するなどして、購入要請を行っていた。
下請事業者(241名)は、今後の九州産交運輸との取引を考えやむを得ず、前記要請を受け入れて、ラーメン等の物品を購入した(購入総額2469万1440円)。
(勧告の概要)
ア 前記要請に基づき下請事業者が購入したラーメン等の物品の購入金額から当該物品の仕入価格に相当する額を控除した額(998万8770円)を下請事業者に対して速やかに支払うこと。
イ 前記購入強制行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させない旨を取締役会の決議により確認すること。
ウ 今後、下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させることがないよう、自社の発注担当者等に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。
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