フカヒレの不当表示と千葉県の調査(景表法)
16日の報道によれば、首都圏で中華総菜販売店「昇龍園」などを運営する「大和グループ」(本社千葉市)が、総菜「産直もやしとフカヒレの冷菜」のラベルに「フカゼラチン」と表示しなければならない食材を「フカヒレ」として販売していたことが分かった、ということです。
「フカゼラチン」というのは人工(人造)フカヒレの原料に使われるようです。人工フカヒレをちょっと調べてみると、「豚ゼラチン」を原料にしているものも多いようなんですが、「フカゼラチン」という以上は、サメ由来のゼラチンなんでしょうねぇ?(【追記】毎日の記事によれば、サメの軟骨周辺のゼラチン質を人工的に固めたもののようですね。)
これについて、報道では、千葉県が景品表示法違反(不当な表示の禁止)の疑いで聞き取り調査を進めており、会社側は自社サイトでこの事実を公表し、「結果として偽装表示になってしまったことに否定の余地はございません。チェック体制のミスに起因するもので、お客さまの信用を裏切り、深くおわび申し上げます」としている、とのこと。この会社のサイトを先程見に行ったのですが、「アクセス集中」ということで見られませんでした。
まだ事案の内容に関して詳しくは分かりませんが、この会社も、この段階で自ら積極的に公表したこと自体は評価できるのではないか、と思います。
(【追記】(4/17)今日の時事の報道だと、3月下旬にフカヒレは入っていないのでは、という情報があったので、県が調べたところ、会社が大筋で認めた、ということなので、その通りだとすれば、どうやら「自ら積極的に公表」したと評価する必要はなさそうですね。公表しないよりマシですが。)
さて、上の報道で、景品表示法違反(不当表示)事件について、千葉県が調査を進めているようなんですが、ご承知の通り、景品表示法の本来の執行機関は公正取引委員会です。
なぜ、公取委ではなく、地方自治体である千葉県が調査しているかというと、景品表示法7条(都道府県知事の指示)の規定があり、同法違反行為については、都道府県知事が事業者に対し、行為をやめさせたり、再発防止に必要な事項などを指示することができる、となっています。
さらに、この指示に従わない場合などは、都道府県知事から公取委に適当な措置を請求することができます(同法8条)。
そして、これらの指示や措置請求を行うために必要があると認めるときは、都道府県知事は、事業者などに対し報告をさせたり、都道府県職員に事業所などの場所に立ち入ったり、帳簿書類などを検査させたりなどをすることができるものと規定されています(同法9条)。
つまり、本件の千葉県の調査は、この規定に基づいてなされているものです。
【追記】(5/21)
千葉県は注意の行政指導を行ったようです。
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