08年独占禁止法改正(その2 閣議決定と法案公表)
今朝、独占禁止法、景品表示法の改正案が閣議決定され、これから国会で審議されることになります。
改正案などは、公正取引委員会のサイトの報道発表資料から見ることができます。
公取委が、独占禁止法等の一部改正法案の概要として発表したのは以下の通りです。少し詳しく触れたいところもありますが、今回はひとまず概要紹介のみ。
1 課徴金・排除措置命令関係
(1) 課徴金の適用範囲の拡大
(ア) 排除型私的独占
(イ) 不当廉売,差別対価,共同の取引拒絶,再販売価格の拘束
(同一の違反類型を繰り返した 場合)
(ウ) 優越的地位の濫用
(エ) 不当表示【景品表示法の改正】
(2) 主導的役割を果たした 事業者に対する課徴金の割増算定率
(5割増 例:製造業等の大企業10 %⇒15 %)
(3) 課徴金減免制度の拡充
(最大3社⇒最大5社,グループ会社による 共同申請可)
(4) 事業譲渡等が行われた場合の課徴金納付命令等に係る名宛人の取扱い
(事業を承継した 一定の企業に対しても 命令)
(5) 課徴金納付命令等に係る除斥期間の延長 (3年⇒5年)
2 企業結合関係
(1) 株式取得の事前届出制の導入
(2) 届出基準の見直し等 (総資産⇒売上高,届出閾値の簡素化 等)
3 その他
(1) 海外当局との 情報交換に関する規定の整備
(情報交換を行う場合の条件等を法定化)
(2) 利害関係人による 審判の事件記録の閲覧・謄写規定の整備
(正当な理由がある場合には開示を制限)
(3) 民事救済制度の拡充
(差止訴訟における 文書提出命令の特則の導入)
(4) 事業者団体届出制度の廃止
(5) 公正取引委員会職員等の秘密保持義務違反に係る罰則の引上げ
(10 万円以下⇒100 万円以下)
なお、今回は見送られた審判手続の改正ですが、改正案の附則の19条は、次のようになっています。
附則19条(検討)
政府は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成20年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新独占禁止法及び新景品表示法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新独占禁止法及び新景品表示法の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
〈関連記事〉
→ 「08年独占禁止法改正(その1)」(2/15)
→ 「08年独占禁止法改正(その3 不公正な取引方法)」(3/15)
【追記】(09/6/12)
上記は、結局廃案となった平成20年提出の改正案についてのものです。成立した平成21年改正案と共通する部分は多いですが、ご注意ください。
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