マリンホース事件についての排除命令(公取)
先日(2/13)書いた「外国公務員に対する贈賄事件(不正競争防止法)」という記事にも関連するのですが、公正取引委員会は、日米欧のマリンホースの製造販売業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反するとして、2月20日、同法7条2項に基づいて排除措置命令及び同法7条の2第1項に基づいて課徴金納付命令を行いました。公取によれば、本件は、平成19年5月に、米国司法省、欧州委員会等とほぼ同時期に調査を開始したものである、とのこと。
マリンホースとは、タンカー と石油備蓄基地施設等との間の送油に用いられるゴム製ホースのことだそうです。
→ 公取サイトの公表資料
→ 「『マリンホース』の国際的価格カルテル事件」(07/5/7)
違反事業者数は、日本のブリヂストンと横浜ゴムの他、欧米6社。排除命令は8社の内5社、課徴金納付命令は1社(ブリヂストン)が対象となっています。
日経の報道によれば、公取がカルテルで外国企業に排除命令を出すのは初めてとのこと。
そして、課徴金については日本のブリヂストン1社のみに命じられていますが、違反事業者として記載されている横浜ゴムは自主申告したらしく、課徴金減免制度(リニエンシー)によって、排除命令、課徴金納付命令とも対象にはされていません。
ちなみに、ブリヂストンもこの制度の適用により30%の減額を受けています。この違いは、横浜ゴムが立入検査前の時点で最初に自主申告を行ったのに対し、ブリヂストンは立入検査後に自主申告を行ったからではないか、と推測されます。
【追記】(5/15)
本日の公取委の発表によれば、上記の排除命令の対象会社のうち、イタリアの1社(マヌーリ・ラバー・インダストリーズ・エスペーアー)から審判請求があり、独占禁止法52条3項に基づき審判手続を開始することとした、とのことです。
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