犯罪収益移転防止法が3月から全面施行
昨年(07年)3月に制定された犯罪収益移転防止法(正式名称:犯罪による収益の移転防止に関する法律)は、犯罪による収益の移転防止を図るとともに、テロ行為などへの資金供与の防止を確保するなどにより犯罪による収益やテロ資金のマネーロンダリング(資金洗浄)防止を目的とした法律です。
時事の報道によれば、今日(1/29)朝の閣議で政府は、この犯罪収益移転防止法を3月1日に全面施行することを正式決定したようです。
要するに、この法律の対象となる「特定事業者」(金融機関、ファイナンスリース業者、クレジットカード業者、宅地建物取引業者、貴金属等取引業者、郵便物受取・電話受付サービス業者、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士等)に対する義務づけが3月から始まるということになります(同法2条2項)。
弁護士もひとごとではないので、いろいろと大変なのですが、消費者問題的な観点からは、私設私書箱業者や電話代行サービス業者が入ってるのが注目ですね。これらの業者が間に入ることによって、悪徳業者の実際の所在がわからず特定できないという例は随分以前から問題になっていました。
これにより、「特定事業者」は、一定の取引について顧客等の本人特定事項の確認を行うことが義務づけられたとともに、その記録を7年間保存することが義務づけられ(同法4~6条)、取引記録も7年間保存することが義務づけられました(同法7条)。
その他、業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いがある場合等には、監督官庁への届出義務が定められています。
この法律で統一的な規制が行われることにより、これまで金融機関等に本人確認を義務付けていた金融機関等本人確認法が廃止され、また、これまで疑わしい取引の届出を義務付けていた組織的犯罪処罰法第5章が削除されます。
関係官庁から業種別ガイドライン案なども出されていたようですので、これから施行日に向けて、正式版が公表されていくのだろうと思います。
制度や法律の概要については、警察庁のJAFICのサイトをご覧ください(もっとも、ざっと見たところ、現時点ではまだ今日決まった政令などは載っていないようでしたが、その内、載るでしょう。)。
【追記】(2/8)
電話受付代行サービスについては、総務省からガイドラインが公表されたので、2月4日付記事に書きました。
宅地建物取引業者(宅建業者)に関するガイドライン案も国交省から出ていますが(パブコメも終わりましたが)、まだ公表がないようですね。
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