船場吉兆の梅酒製造販売と酒税法
どうやら、あの「船場吉兆」が、酒税法上の許可を得ないで梅酒を製造、販売していたとして、国税局も調べを進めているとのことです。
梅酒などを自家製造して販売することが違法になるというのは、以前このブログでも書きました。詳しくはこちらをどうぞ。
→ 「酒の製造・販売免許制度と果実酒」(5/16)
梅酒といえども、法律上例外的に製造が許されているのは自己消費分だけです。小料理屋だとかスナックだとかで、お客に出すようなのは酒税法上、違法とされているので、ご注意。
しかも、例外は「酒類の消費者が自ら消費するため」(酒税法43条11項)という規定です。
この規定を厳密に考えれば、自分以外の家族に飲ませるためでも駄目じゃないかと思われますが、国税庁の通達では「同居の親族が消費するためのものを含むものとし、他人の委託を受けて混和するものは含まないものとする。」とされていますので、同居家族のために作る(自家消費する)のはセーフという運用のようです。でも、これによっても、別居している子供とか親戚、あるいは、近所の友人にあげるために作るのは、販売ではなくても、違法ということになります。なお、この国税庁通達では、「自ら」には法人は含まないとされています。
興味のある方は、酒税法43条(みなし製造)と酒税法施行令50条をよくお読みください。
なお、前にも書いたのですが、酒税法上の「果実酒等」と、梅酒などとは違いますので、酒税法を読む際には、お気をつけ下さい。
【追記】(1/11)
朝日が、与党の酒税法の改正方針を報じていますね。与党の来年度税制改正大綱に示されているのですが、飲食店などにおいて、一定の要件の下での「みなし製造」規定の不適用の方向での改正方針ということのようです。
これは、以前(5/16)書いたニセコの事案については、セーフとなる改正ですが、自分の飲食店などで客に供する場合に限られるので、商品として客に販売するのは、この改正方針でも合法とはなりません。
【この関連】(08/5/1)
→ 「『租税特別措置法』と『酒税法(^^;)』」(08/4/29)
【追記の追記】(08/2/8)
今朝の各社の報道では、
大阪、福岡両国税局が国税犯則取締法に基づいて、船場吉兆と前社長にそれぞれ4万円の罰金相当額を納付するよう通告していたことが分かった、とのこと。さらに、5年間に製造した分にかかる酒税計約7万円も追徴課税したもようで、既に全額が納付されたらしいということです。
« 不当廉売についての公取委の変節:怪しからぬ | トップページ | 法廷用語の日常語化プロジェクト報告書(日弁連) »
「ニュース」カテゴリの記事
- 「クレベリン」(大幸薬品)措置命令まとめ(2022.05.05)
- 「弁護士法72条違反で」とは(2021.10.18)
- メルカリなどフリマへの出品と違法行為(2021.10.13)
- 「消費者法ニュース」7月号・消費者法白書(2021.08.02)
- 新型コロナワクチンの副反応メモ(モデルナ)(2021.07.30)
「法律」カテゴリの記事
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
- 台風被害によるマラソン大会の中止と参加費の返金(2022.05.13)
- 「クレベリン」(大幸薬品)措置命令まとめ(2022.05.05)
« 不当廉売についての公取委の変節:怪しからぬ | トップページ | 法廷用語の日常語化プロジェクト報告書(日弁連) »
コメント