2万超の内容証明郵便が不適切認証・民営化大丈夫?
発足したばかりの郵便事業会社が、10月31日付で、内容証明郵便と特別送達郵便における多数のミス発生を公表しています。一応報道はされているようなのですが、あまり大々的には取り上げられておらず、私も、仕事関係の会社の社内LANのメールで知った次第です。
→ http://www.post.japanpost.jp/whats_new/2007/1031_03.html
公表内容によれば、本年10月1日以降、内容証明及び特別送達の郵便物について、適正な認証事務が行われなかった事案が発生したことから、10月24日、総務省から、早急にお客様に対して事実関係を説明の上、適切な善後策を講ずるよう命ぜられ、不適正な認証事務に関する調査及び原因並びに再発防止策について10月31日に報告したとのこと。
判明した不適正な認証事務の件数は、内容証明が2万4,771件、(郵便局会社2万4,172件、郵便事業会社599件)、特別送達はすべて郵便事業会社で1万2,381件となっており、両社合計では3万7,152件。
一般の方にはあまり関係ないかもしれませんが、内容証明や特別送達というのは、我々弁護士や裁判所の仕事では大変重要で、どのような郵便が相手方にいつ、ちゃんと送達されたかどうか、ということを、後日証明するために不可欠なシステムです。
公表内容では、「不適正な認証事務のあった内容証明の郵便物については、郵便局、支店に保管している謄本から差出人様を特定し、お詫びした上で再度差し出していただくことをお願いしてまいります。また、特別送達の郵便物については、郵便送達報告書の写しに不備事項がある場合は差出人様にご連絡し、お詫びするとともに郵便送達報告書を返送いただき、補正させていただきます。」とのことです。
でも、それが、ちゃんと認証されていなかったとなると、最悪の場合、例えば、時効の中断であるとか、債権の請求行為などの事実が、後から証明できないという事態も考えられ、場合によっては、重大な結果が生じることもあり得るのでは・・。再度、出し直しても、期間が経過してしまったということも考えられますね。もし、このような場合には、郵便事業会社において、後日でも、ちゃんと、その証明ができるようにフォローのシステムを作っておいていただきたいものです。また、もっと広報すべきだと思うのですが。
国会では、日本郵政株式会社(ややこしいねぇ)の西川善文社長が、内容証明郵便の差出人に対し、同社が郵便料を負担した上で再度差し出しを依頼する方針を表明し、11月中旬までにすべての差出人への対応を終える意向を示した、とのことです。
このような業務は民営化されたからといって、いい加減にされては困ります(当たり前だが)。
でも、考えようによっては、民営化されたから、このようなミスの発生が表に出てきただけで、以前の「官」の時代にも、こんなことはしょっちゅうあって、ただ隠蔽されていただけ、というような想像をしてしまうのですが、そんなことはないでしょうねぇ・・・・・・・・ これまでの郵貯も保険も大丈夫かなぁ。私の取り越し苦労であることを祈ります。
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