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2007年10月30日 (火)

「元祖」表示が品質表示か?の判決(不正競争)

 和菓子の名称に「元祖」を付した商品名を使用した行為を、競争関係にある企業が、不正競争防止法に基づいて、差止、廃棄、損害賠償(1億円)を請求した事案です。
 控訴人(原告)の商品名が「大阪みたらし小餅」、被控訴人(被告)の商品名が「大阪みたらし元祖だんご」です。

 1審の大阪地裁判決(平成19年3月22日)が原告の請求を全部棄却したため、争点を
(1)被控訴人(被告)が販売する商品の包装紙等に「元祖」の表示を付している行為が、品質誤認表示行為にあたるか(不正競争防止法2条1項13号該当性
(2)被控訴人(被告)が販売する商品の包装紙等に「元祖」の表示を付している行為が、営業誹謗行為(営業上の信用を毀損する虚偽の事実の告知行為)にあたるか(同項14号該当性
 という2点に絞って、控訴人(原告)争ったものです。なお、1審では、同項1号も争点となっていました。

 大阪高裁平成19年10月25日判決(最高裁サイトより)

 1審判決は、上記争点(1)の品質誤認表示の点については、「元祖」を「物事を初めてしだした人」の意味に理解する場合、これが品質についての表示とはいえない、また、仮に「元祖」について、製造販売を継続している中で最古のものという解釈をしたとしても、被告の「元祖」の表示が事実に反することの証明があったとすることはできない、として主張を排斥しました。今回の控訴審判決は、これを引用したうえで、さらに、

 「元祖」を「物事を始めた者」と解したとしても、この表示が直ちに商品の特定の品質に結びついて商品選定に影響するとは認められない、
 「一家系の最初の人」も意味する「元祖」の語義からすれば、一般論としてはこれを付した商品が相応の歴史・伝統を有するものとして商品選定に何がしかの影響を及ぼすことがあり得るとしても、本件商品のような新しい着想による、歴史・伝統の浅い商品について「元祖」表示を付することが、その品質に係る優位性を強調することに繋がるとは必ずしもいえず、「元祖」表示が、直ちに商品選定に影響するとは認められない、などとして、品質誤認表示該当性を否定しました。

 また、上記争点(2)の営業誹謗行為については、1審が、「元祖」の表示は、他の同業者について何ら述べるものではないから、それのみでは他の同業者の営業上の信用を害する事実ということはできない、「元祖」を「物事を初めてしだした人」と解釈する場合、品質にかかわるものではなく、比較的安価な菓子類については、それによって他の同業者の営業上の信用が直ちに害されるとは認められないなどとし、控訴審判決もこれを引用して、営業誹謗行為該当性を認めず、控訴を棄却したものです。

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