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2007年8月 8日 (水)

(MEMO)公取委:下請取引改善協力委員会議

 以下は、8月8日付公表の公正取引委員会下請取引改善協力委員会議(本年6月6日から6月29日の間に各地で開催)に出された下請取引の現状等に関する意見の概要です。私の一応のメモということで。
    → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.august/070808.pdf
※なお、この手の公的機関の著作物の引用については、著作権法32条2項をご参照下さい。

1  全般的な景況について 
○  景気に関しては,アンケート調査に対して,受注量が増加していると回答する企業と減少していると回答する企業がともに増加するなど,企業間におけるばらつきが広がっている。また,好景気により大都市周辺の企業の業績は良いようであるが,地方では好景気の影響が感じられない。
○  大手企業による工場の集約化が進んでおり,地域間格差が今後広がっていくものと見込まれる。 
○  発注企業は,取引に際し,固有技術を持つ下請事業者に対しては優遇しているが,固有技術を持たない下請事業者に対しては価格を最重視するため,価格による競争となり,固有技術を持たない下請事業者にとっては,依然として厳しい状況となっている。 
○  運送業界は,環境問題対応のための車両の整備や交通安全対策面で費用が増加している。資金力がある企業はしっかりと下請事業者への対応ができており業績を伸ばしている一方,そうではない企業は廃業へと追い込まれるケースが増加しており,二極化が進展している。 
○  放送番組・映像制作業界では,全体的に景気は好調であるが,企業間格差が広がりつつある。放送局が番組制作を委託する際に番組内容を決定する時期が遅延しており,その結果,短納期発注のしわ寄せが下請事業者にきている。 

2  下請代金の設定等をめぐる問題について
○  戦後最長となる好景気と伝えられているが,原油・原材料価格の高騰によるコストアップが受注単価に反映されていないとの下請事業者の声が多い。 
○  単価改定については,下請事業者からの見積書の提出は形式だけで,実際には親事業者が,従来の単価から一定率を引き下げたり,親事業者の予算単価を押し付けるなどして,一方的に決められる場合がある。 
○  単価見直しの基準が難しく,かつ,多品種小ロットでの発注で短納期のものが多いため,単価設定に苦慮している。 
○  親事業者から,海外ではこのくらいの価格であると示されると,下請事業者は低価格で受注せざるを得ないケースがある。 
○  親事業者は最近,原材料費高騰分の半分程度を下請代金に転嫁することを認めるようになっているが,下請代金について上半期分を下半期分にスライドして支払う制度が採用されており,下請事業者には依然厳しい状況が続いている。 
○  発注当初に大量の発注数量を前提として単価設定をしたにもかかわらず,見込みよりも製品の売行きがよくなかったとして,単価をそのままに発注数量を大幅に削減された例があった。 
○  自動車業界全体の景気は良いが,地域により差がある。鉄鋼メーカーの寡占化が進展したこともあり,鋼材価格の値上げが一方的に行われている。小規模事業者は発注先から支給される原材料が多く,原材料費の値上げによる影響が少ないが,自ら原材料を調達する中規模事業者は見積り時以降に原材料費が高騰しても,その分の値上げが困難な状況にある。 
○  繊維業界においては,一部海外に発注されていたものが国内に回帰してきている場合もあるが,受注価格については品質に関係なく,海外での取引価格をベースに設定される。 
○  情報成果物の作成委託取引においては,発注時点では詳細仕様が定まっていることが少なく,提案書に基づいた概算見積りで受注することが原因となって下請代金の減額や買いたたき,受領拒否につながる場合がある。 

3  その他下請取引上の問題等について
○  知的財産権の帰属について,下請事業者の技術を親事業者に有利な条件で移転するよう求められることがあるため,契約する際には契約条項をしっかり確認する必要がある。 
○  一部の部品製造業界では検収締切制度に基づき,検収が終わらなければ納品とは認められないという実態が依然としてある。 
○  情報成果物作成委託取引においては,委託内容が感覚的・主観的な要素を持つものが多いため,成果物の納入後のトラブルが多く,結果的に,追加のやり直し費用を下請事業者がすべて負担することが多い。

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