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2007年6月23日 (土)

司法試験の合格者数見通しなどなど

 報道によれば、司法試験委員会が発表した来年以降の新司法試験合格者数の見通しは、08年2100―2500人、09年2500―2900人、10年2900―3000人を目安とするとのことです。

 合格者数を3000人とするという従前の方向を維持していることになっていますね。

 法曹人口問題について、私の所属している会派・友新会のHPで、基礎知識を簡単にまとめていますので、ご紹介しておきます。

 → http://www.yu-shin.gr.jp/hoso2007/

 少なくとも、現在の経済情勢下で、大阪では、新人弁護士の就職は大変なことになっていくことは確実ですね。というか、もう、大変になっています。

 私としては、弁護士の既得権にしがみつくために人口増に抵抗するという趣味はありませんし、基本的には自由競争は必要と思っているのですが(自分の生活の面からいえば、本当に大変つらいところですが)、基盤整備なしにやみくもに急増するのがいいかと言われると疑問ですね。国民の立場からも、受験生の立場からも。
 私としては、法律家として充分な素質を持った方が、プロとして、国民の権利擁護のためにたくさん活躍してほしいと思います。ただ、これは、経済的な見返りは昔から期待できないものであることを充分に理解して挑戦していただきたいと思います。世間で思われているような「弁護士」の経済状態というのは一部の人だけだと私は思いますよ。
 能力と理想にあふれた方々は、是非、頑張って挑戦してください。でも、弁護士になったら稼げるだろ、と誤解している人は、早く進路変更していただきたいと思います。

 これとは別に、今日は、司法試験の試験委員の教授の問題が報道されています。もちろん、これは法曹人口増とは全く別の問題です。時間的にも経済的にも大変な苦労して合格しても、現実には結局はみんなが生活できるわけではないですよ、というのと、公正な試験がなされているか、というのとはレベルが違う話なのは当然です。
 報道の内容が事実とすれば、この件は、疑われても仕方がないし、とても適切な行動だったとは思えません。割り引いて考えても、「李下に冠を正さず」です。
 ただし、同様の問題は、決して新しい問題ではなく、私が受けていた20年以上前の司法試験時代から聞いたことのある話題ではあります。当時は今のようにネット掲示板で情報が飛び交っている時代ではないので、噂レベルでしかなく、確証があったわけではありませんですがね。司法試験に限らず、他の国家試験でも、時々問題になるところです。

 試験問題そのもの、あるいは、出題内容、範囲を漏洩することが許されないのは当たり前であり、そうでなくても、ことさらに自分の学生が有利になるような行動を取ったり、疑われかねない言動がいけない、というのは議論の余地はありません。

 このような疑惑を回避するために、受験者を教える立場の教授の中から試験委員を選ばなければいい、という意見も見ましたが、実際問題として現実的な対策でないと思います。
 自分の学生を教える立場と、試験委員として中立であるべき立場と、これをどのように両立させていくのか、そこを考えていかなければならないですね。よく考えてみるとこのけじめは難しく、決して単純な問題ではないと思います。従来、このような問題は、それぞれの人間の識見、自覚に委ねられていたのだろうと思いますが、今の時代、そのような「性善説」では通用しなくなってきています。企業のコンプライアンスにも通ずる話です。

 私も、法科大学院で非常勤講師として教えている立場で、決して他人事とは言えません。もっとも、「情報法」という、司法試験の科目ではない科目ですので、試験委員になるはずもありませんけど・・・・。

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