ヤフーBB個人情報漏洩事件控訴審判決(大阪高裁)
本日午後1時15分、大阪高裁にて、ヤフーBBの個人情報漏洩問題損害賠償請求事件についての控訴審判決が言い渡されました。
結論は、下記の1審判決では認容されなかったヤフー株式会社の責任を認め、被告両社に対して原告らに対する支払を命じました。根拠としては、民法715条の使用者責任を持ってきています。
つまり、ソフトバンクBBの担当従業員についても、顧客情報管理については、ヤフーの直接間接の指揮監督の下にあったとして、当該事業については使用者・被用者の関係が成立するとしたもので、外形上一体としてサービスを提供していた両社の関係を極めて常識的に判断したものであり、妥当な判断と考えます。
ただし、賠償金額としては、1審の6000円(1人あたり)より減額され、5500円(慰謝料4500円、弁護士費用1000円)となっています。これは、損害額自体を減額認定したものではなく、事件直後に、会員に500円の郵便振替支払通知書を郵送したことをもって、賠償の一部弁済として控除したものです。
この点の判断について、詳細は省略しますが、不当な判断と考えています。
ほかにも、訴訟費用負担の点など、いろいろと問題は残りますが、ここでは、この程度の報告といたします。
※なお、急ぎの判決検討に基づくもので、以上の内容には誤りがある可能性もありますが、速報ということでご容赦ください。
※続き→ 「ヤフー事件控訴審判決 追記と雑感」(6/22)
https://stuvwxyz.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_4473.html
「ヤフー事件控訴審判決 減額の理由」(6/24)
https://stuvwxyz.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_bb1d.html
・原審(大阪地裁)判決概要
大阪地裁平成18年5月19日判決(判例時報1948号122頁)
ソフトバンクBBのみに対して支払の命令。
1人あたり6000円(慰謝料5000円、弁護士費用1000円)。
ヤフー株式会社に対する請求は否定した。
→ 原告と被告ソフトバンクBB(旧・BBテクノロジー)が
控訴したのが本件控訴審。
【事件概要】
・原告:Yahoo!BB会員5名
・被告:①ソフトバンクBB株式会社
(旧・BBテクノロジー株式会社)
②ヤフー株式会社
・事実経過
平成16年1月
多数のYahoo! BB会員の個人情報が漏洩したとの報道。
平成16年2月11日
Yahoo!BB元代理店経営者らや右翼団体関係者が逮捕。
Yahoo!BBの顧客情報を利用した恐喝未遂で逮捕。
平成16年3月
ヤフービービー情報漏洩問題対策弁護団を結成。
平成16年5月17日
大阪地裁へ提訴(その後、追加提訴)。
【追記】(7/5)
原告弁護団は、本日(7/5)、この控訴審判決につき、上告及び上告受理申立を行いました。
【追記】(12/28)
双方からの上告、上告受理申立は、棄却および不受理とする決定が最高裁で出ました。よって、判決は確定です。
→ 「ヤフーBB個人情報漏洩事件判決・最高裁で確定」(12/15)
→ 「ヤフーBB個人情報漏洩事件最高裁決定を受領」(12/19)
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