治療薬の特許権無視を認める大統領令
時事通信の報道では、ブラジル大統領が、米製薬会社が特許を持つエイズ(HIV)治療薬について、ブラジルでの特許権無視を認める大統領令を出したとのことです。
これを見て、ちょっと調べてみたのですが、ブラジルやアフリカ諸国などとHIV治療薬の特許権という問題は以前からいろんな形で生じていたのですね(不勉強でした)。
HIVで苦しんでいる被害者、特に経済的な力のない患者が、治療薬を使えないで命を縮めていくという社会的な状況をどうみるのか、その一方で、多額の研究費とリスクを負担して開発する製薬会社にとっては、その製品から利益を上げる必要も当然ながら無視するわけにもいかないし、無視されるならば、治療薬開発の意欲を削ぎ患者の不利益になるという逆の問題もあるわけですね。
最近の著作権保護の論議でも同じことなのですが、人類の創造物を、人類全体の利益のために自由に利用できるようにしなければならない、という面と、新たな創造物を作った人の権利を保護しなければならない(言い換えれば、創造に向けてのモチベーション・動機付けですね)、という面の調和が求められることになります。
自由経済の抱える矛盾なのでしょうね。私などが簡単に答えを出せる問題ではありませんが、一つだけいえることは、少なくとも、発明者、著作者の権利と言えども、必要以上に馬鹿げた利益を与える必要は全くない、ということくらいでしょうか。
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