「マリンホース」の国際的価格カルテル事件
タンカーから陸上施設への石油輸送などに使われる「マリンホース」の販売に関して、メーカーの価格カルテルの疑い(独占禁止法違反:不当な取引制限)で、公正取引委員会が、ブリヂストンと横浜ゴムなどメーカーに立ち入り検査に入ったと報じられています。
このマリンホースのカルテルについては、先日、アメリカの司法省が、米欧の石油大手や米国防総省などへの販売におけるカルテルの疑いで、ブリヂストンの化工品海外部長を含む英国、フランス、イタリアの企業社員計8名を逮捕しています(ブリヂストンの発表では、同社社員はその後釈放)。
ブリヂストンのホームページによれば、アメリカの司法省だけでなく、英国公正取引局と欧州委員会も捜査を開始したとの情報を得た、となっています。日を置かずに今回、日本の公取委も調査開始となったわけで、おそらく、国際的に協調した捜査(調査)活動が始まっているものと考えられますね。
【追記】(7/5)
今朝(7/5)の朝日新聞が、「国際カルテル摘発、横浜ゴムの「自首」端緒 おとり捜査」と報じています。
横浜ゴムの米司法省への自首・減免申請(リーニエンシー)が発端だったことがわかったという内容で、これによれば、米司法省は、申請受理後、同社の協力でおとり捜査を仕掛けて一斉逮捕につなげたとのこと。
【追記の追記】(08/2/13)
この事件の発覚後の調査の中で、中南米や東南アジアなどの外国公務員に対する不適切な支払いが、少なくとも1億5000万円あったとブリヂストンが発表した、と報道されています。
これについては、別記事(08/2/13付)「外国公務員に対する贈賄事件(不正競争防止法)」に書きました。
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