家電量販店の優越的地位の濫用
今日、家電量販店最大手のヤマダ電機に、公正取引委員会が立入検査に入ったと報じられています。
これは、家電商品を納入している複数のメーカーに対して、店への販売員「ヘルパー」の派遣を強要していた疑いによるもので、独占禁止法違反(不公正な取引方法:優越的地位の濫用)に該当することになります。この派遣販売員の人件費はメーカー持ちと見られます。
ヤマダ電機は、今年になって大阪市内の大型店舗でのメーカー派遣「ヘルパー」の就労に関して、大阪労働局による調査の結果、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)と認定され、是正指導されています。
そして、この件で、衆議院経済産業委員会での議員の質問に対して、竹島公取委委員長が「・・ガイドラインに抵触するような場合には、きちんと対応していくつもりでございます。」と答弁しています。
ここでいう「ガイドライン」とは、平成18年6月に公表された「家庭用電気製品の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(いわゆる「家電ガイドライン」)のことで、不当廉売等の行為の他、上記のような優越的地位の濫用についての考え方も示しているものです。
概要 → http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.june/060629.pdf
なお、家電販売に限らず、大規模小売業者に関しては、平成17年に「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法 」(大規模小売業告示)という公取委告示が出されています。
概要 → http://www.jftc.go.jp/daikibo.pdf
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