し尿・汚泥処理施設談合の課徴金 etc.
先般は、し尿・汚泥処理施設工事の談合事件に関して、その刑事判決について整理しましたが、ついでに、今年初めに出された課徴金納付命令について、最近の高額課徴金事件と一緒にまとめておきます。
当然ながら、この課徴金は刑事判決での罰金の支払とは別に支払わなければならないものです。
公正取引委員会は、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行ったとして、平成19年1月16日、関係11社のうち既に事業を取りやめている事業者を除く4社(アタカ大機、西原環境テクノロジー、タクマ、三井造船)に対し排除措置命令を、11社のうち下記7社に対し、課徴金納付命令(合計20億7189万円)を行いました。
アタカ大機 2億7502万円
西原環境テクノロジー 1億0275万円
クボタ 6億0233万円
栗田工業株式会社 3億2886万円
JFE エンジニアリング 3億2256万円
荏原製作所 2億8224万円
住友重機械工業 1億5813万円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なお、橋梁工事談合事件では、昨年3月に50社に対して合計129億1048万円の課徴金の納付命令が出されています。
また、ごみ処理施設工事の談合事件では、本年3月に、三菱重工業(64億9613万円)、JFEエンジニアリング(57億3251万円 )、川崎重工業(51億6558万円)、日立造船(49億 0102万円)、タクマ(47億0265万円)の4社に対して合計269億9789万円という多額の課徴金納付命令が出されています。
【追記】
さっき、日経のサイトを見ると、経団連が今日開いた自民党と政策を語る会の中で、官房長官の(独禁法の見直し検討中の)私的懇談会が「課徴金の対象範囲拡大や水準の引き上げなど、さらなる制裁強化に焦点をあてて議論をしている」と不満を表明した、とのこと。
いろいろ意見はあっていいと思いますが、素朴な疑問として、課徴金の額や刑事罰を含め制裁強化がこれまでも続けられてきたにもかかわらず、どうして同じ企業たちが、何度も何度も談合を繰り返すのでしょうかね。
多くの株主もこれを咎めていないのが実情です。
普通に考えれば、高い課徴金や罰金を支払ってでも止められないだけの企業利益があるとしか思えません。これは、人ごとではなく、公共工事の場合、その違法な企業利益というのが、国民全員の税金から出ていることを忘れてはいけないと思います。
« ラジオショッピングと不当表示 | トップページ | 催告後の債務承認と民法153条(時効談義:その9) »
「ニュース」カテゴリの記事
- 「クレベリン」(大幸薬品)措置命令まとめ(2022.05.05)
- 「弁護士法72条違反で」とは(2021.10.18)
- メルカリなどフリマへの出品と違法行為(2021.10.13)
- 「消費者法ニュース」7月号・消費者法白書(2021.08.02)
- 新型コロナワクチンの副反応メモ(モデルナ)(2021.07.30)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 「弁護士法72条違反で」とは(2021.10.18)
- 消費税総額表示義務について(2021.04.02)
- マスクの上限価格指示行為(独占禁止法)(2020.04.24)
- 平成31年5月付け報告書(経産省)(2019.09.24)
- 「デジタル時代の競争政策」(杉本和行・公取委委員長)を読んで(2019.09.18)
「法律」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
コメント