スカイビズ事件の損害賠償請求
5年ほど前に世界的に話題になった事件です。ホームページのスペースをレンタルするという触れ込みで儲け話に勧誘するという悪質商法(マルチ商法)を行っていたアメリカのスカイビズ(skybiz)社の事件。当時、日本でも大学生など若い人たちを中心に被害があり、ニュースなどでも取り上げられました。
大阪弁護士会消費者保護委員会の私の所属する部会(電子商取引や独占禁止法関連を担当している)でも検討したことがありました。この会社は倒産したのですが、意外に被害者からの相談などが表面化せず(泣き寝入りで諦めた人が多かったのでしょうけど)、そのままになっていました。
その事件について、このほど国民生活センターのホームページに以下のような記事が掲載されました。(http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/skybiz.html)
「米国FTCが行っているスカイビズ被害者への損害賠償救済措置は、当初、2004年7月31日を提出期限としていましたが、その後延長され現在も継続して受け付けています。しかし、2007年3月30日付けをもって受付を終了することになったとの連絡がありました。
まだ、「損害賠償請求」を届け出ていない被害者の方は、至急、下記のWebサイトから損害賠償請求提出の手続きを行ってください。
SkyBizの損害賠償計画(日本語版) https://www.skybiz-redress.com/index-jap.html
被害を回復するための「損害賠償請求」提出期限:2007年3月30日 」
詳しくは、国民生活センターのホームページを参照してほしいですが、FTCというのは、日本でいうと公正取引委員会です。FTCがスカイビズ社相手に裁判をし、その結果、FTCが被害賠償金の支払を会社から受け、それを広く世界中の被害者に分配するという手続がなされているのです。アメリカには、FTCや州の司法当局が被害者(国民)に代わって賠償請求ができたり、また、クラスアクション制度もありますが、いずれのな制度も日本にはありません。
しかし、このように悪徳業者から利得を吐き出させて被害者の救済に充てるべきだという指摘は、消費者問題に取り組んでいる弁護士たちからも以前からなされています。新設された消費者契約法上の消費者団体訴訟でも、差し止めは求めることができますが、被害者に代わって損害賠償請求をするということまでは認められていません。
« アクセス急上昇??? | トップページ | 個人情報流出の責任のありか »
「裁判」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- 台風被害によるマラソン大会の中止と参加費の返金(2022.05.13)
- 「クレベリン」(大幸薬品)措置命令まとめ(2022.05.05)
「法律」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
同類の案件がございました。
ところで、「悪質商法(マルチ商法)」は間違いかと思います。
マルチ商法=連鎖販売取引、マルチ紛い商法=悪質商法かと・・・。
老婆心ながら。失礼します。
投稿: 法曹人 | 2007年4月13日 (金) 21時53分
同類の案件とは、スカイビズと同類の案件があったということでしょうか。
マルチ商法も、マルチまがい商法も厳密な定義がないのが実情ですが、数年前の特商法の改正前には、約定負担金を少なくするなどして連鎖販売取引の脱法をしていた商法をマルチまがい商法ということが多かったように思います。その点では、改正後は同じことになると思います。
いずれにせよ、マルチまがい商法が悪質商法ならば、マルチ商法は一層のこと悪質商法であると思うのですけど。それとも、悪質という程度の言い方では優しすぎるということかな。
投稿: 川村 | 2007年4月13日 (金) 22時12分